月別アーカイブ: 2008年4月
ネットベイトのスイムベイト
唯一無二の名作クランク その6
仮に旧モデルのスピードトラップの方が新モデルよりも釣れるとなった場合に大きな問題があります。実は旧モデルのスピードトラップは、他のルアーに比べて極端に熱に弱いのです。真夏の炎天下でタックルボックスの中に入れておくと、確実に熱で内部の空気が膨張して?膨れてしまうのです。シャープなボディシェイプが売りのスピードトラップがメタボな体になってしまうと、それはもう本来のスピードトラップではありません。それでもまだ左右均一に膨れてくれれば、まだ使えないことはないですが、左右非対称に膨れることも多く、バランスが悪くなって使えなくなってしまうのです。
つまり、旧モデルのスピードトラップはたくさんストックしていても、熱で膨れてどんどん使えなくなってしまうのです。ボクも今までに何個ダメにしたか分からないぐらいです。新モデルのスピードトラップはまだ使いこんでいませんから、夏場に膨れるかどうかは分かりませんが、おそらくこの問題が解消されているような気がします。
なぜ、旧モデルのスピードトラップは膨れやすかったのでしょうか? スピードトラップは浮力を最大限引き出すために、ボディー外壁が薄く作られています。これを”シン・ウォール・コンストラクション(Thin-Wall Constraction)”と呼んでいます。外壁が他のルアーに比べて薄ければ、当然強度が弱く、膨れやすくなります。前回お伝えしたように、新型と旧型の重量を比べるとほとんど違いがありませんでした。もし、新型の外壁が厚くなっているとすれば、その分ボディーは重くなっているはずです(しかも新モデルは若干ボディーサイズも大きい)。ボディが重くなった分、固定ウェイトを軽くして、全体の重量を同じにしたとなると、新型のバランスが大きく変わった点のつじつまが合います。
次に思い浮かべるのは素材の違いです。旧モデル、新モデルともにクリアな素材が使われていますが、素材の硬度が違う可能性も考えられます。あくまで感覚ですが、旧モデルのスピードトラップは軟らかい気がするのです。例えば同じクリアといっても、新モデルのリップはやや透明度が低く白っぽい色をしています。スピードトラップを軽く棒でく叩くと、旧モデルは鈍い音がしますが、新モデルは硬そうな音がします。新型のラトル音がカン高く響くのもそのためかもしれません。実は旧型のウィグルワートにも同じクリアボディーでも硬い素材と軟らかい素材があると言われ、アーロン・マーテンスなどは軟らかい素材の鈍いラトル音がするウィグルワートを好んで使っています。
旧モデルと新モデル、たいていの場合はなぜか旧モデルの方が釣れるケースが多いのは不思議な現象です。ですが、もしかしたら、新モデルもけっこうイケてるかもしれません。こういうのは、2、3日の釣りで分かるものではなく、多くのアングラーが何日も釣りした経験から、感覚的に分かるものだと思います。数年後、旧モデルのスピードトラップがプレミアになっていないことを願っています。
100万ドルに一歩前進
唯一無二の名作クランク その5
名作クランク、スピードトラップは旧モデルのメキシコ製と新モデルの中国製では、いろいろ相違点があることを前回紹介しました。それだけ変わると、形や名前は同じでも、別のルアーと言ってもいいぐらいです。トム・スィワードはかつて雑誌のインタビュー記事で「自身がコントロールできるメイド・イン・USAにこだわりたい。最近は多くのメーカーがバスもいない国でルアーを作っている」と答えていました。
では肝心のアクションはどうでしょうか? 実は両者のアクションの違いは、明確に分かるほどではありません。最も重要なハイスピードリトリーブでもバランスを崩さないという点に関しては新型でも合格点をあげられると思います。これはトム・スィワードのデザインが優れている証でしょう。ただ、新モデルはリップが薄くなって、ラトルボールのウェイトが大きい分、微妙にアクションが大きくなったような気がします。また、ボディーが大きくなった分(ウェイトは旧型とほぼ同じ)、浮力が大きくなったようです。というのも、旧モデルはどんなスローリトリーブでも厚い(重い)リップも手伝って、しっかり潜っていきますが、新モデルは浮力のせいで潜りにくく、スローリトリーブではウェイキングが可能なぐらいです。もちろん、スピードトラップはハイスピードリトリーブがお作法ですから、わざわざスローリトリーブで使う必要はありませんが、この違いは最大潜行深度に違いが出てくると思います。スピードトラップは意外によく潜るのもセールスポイントなので、この違いが釣果にどう影響するか興味深いです。
そして、ボクが一番気になるのがラトル音です。旧モデルのラトル音はおとなしく、ときには鳴っているのかどうか分からないぐらいですが、新モデルはカンカンと大きく鳴り響く感じです。ラトル音って、大きければいいというものではありません。もちろん、大きいラトル音が効くこともあれば、ノンラトルが効くこともあります。ただ、バスにとっては旧型と新型では、ボク達以上に明確にその違いを感じ分けるはずです。
中国製のルアーは粗悪というわけではありませんが、今回の件はバンディッド同様、オリジナルのデザイナーの真意やこだわりを無視して、コスト削減のためだけに安易に中国に丸投げで作らせる典型的な悪い例です。トム・スィワードが去り、親会社のラパラがビジネス優先でスピードトラップのコピー商品を作ったにすぎません。
「旧モデルは釣れたけど、新モデルは釣れない」なんていう噂もチラホラ聞こえ始めています。ボクはまだ真剣に使い比べていませんから、なんとも言えませんが、新モデルも旧モデル同様に名品であってほしいものです。
とっても気になるウェイクベイト
レイク・ノーマンで開催中のFLWツアー第3戦は2日目が終了しましたが、ジム・モイナーが昨年のノーマン戦に続いて、2年連続のトップ10カットに成功しています。ジム・モイナーといえば、フットボールジグのスペシャリストですが、ノーマン戦では昨年に続き、今年もフットボールジグではなく、ウェイクベイトで釣っているようです。
昨年のノーマン戦、ジム・モイナーは予選を2位で通過し、最終6位でフィニッシュしています。そのときのキーベイトとなったのがサルモのスキナーだったのです。このフローティングミノーをときにはウェイクベイトとして、またときにはトゥイッチ&ストップで潜らせては水面まで浮かせて誘う釣りで次々とグッドキーパーをキャッチしたのでした。そして、今年もほぼ同じ時期の開催で、ジムは同じスキナーを使い、見事3位で予選を通過しました。
サルモはポーランドのバルサルアーのメーカーで、トップウォーターからディープダイビングルアーまで数多くのラインナップを誇るヨーロッパを代表するメーカーです。アメリカではそれほど有名ではありませんが、個人的にスキナーだけはとっても気になりますね。
ラッキークラフト大健闘
アメリカの業界雑誌FTR(Fishing Tackle Retailer)の昨年の9月号に興味深い記事がありました。一般の釣り人に広くアンケート調査をしているAngelrSurvey.comによると全米のハードベイトのトップ5セールスは1位ラパラ、2位ラトルトラップ、3位ラッキークラフト、4位ボーマー/ヘドン、5位ストライクキングなんだそうです。これはバスだけでなく、トラウト&サーモンからクラッピー、ウォールアイ、パイクとあらゆる対象魚を含めたアンケートなんですが、ラッキークラフトが堂々3位に入っているのは凄いことです。なるほど、アメリカのメーカーからいろいろパクられるのも納得ですね。
ラパラが1位というのは正直意外です。アメリカで釣りをしていても、ラパラの使用頻度って、それほど多いとは思えないのですが・・・。もう一つ意外なのは、ラトルトラップです。他のメーカーはいろいろなルアーを発売していますが、2位だけはビルルイスではなく、ラトルトラップと名指しです。確かにどこに行っても頼りになるルアーです。カラーも豊富で本格的なプロショップからウォールマートのような大型スーパーチェーンまで、どこでも簡単に手に入ります。数多くのバイブレーションルアーが世の中にはありますが、ラトルトラップは永遠の名作ルアーです。ラトルトラップってこれまでに何個売ったんでしょうね。
日本サイズの新作ワーム
もう一つ面白そうなのが、エクスード・ファンテール・シュリンプです。2.5インチサイズの臭い付きエビ系ワームです。チューブ構造になっていて、ラトルも挿入可能になっています。小さいながら、凝ったデザインで、まさにミニミニパカクローといった感じです。スモラバのトレーラーに使えるんじゃないでしょうか? 全11色で8本入り4.80ドルだそうです。
http://www.mistertwister.com/
班長
最近、凝った作りのワームを次々とリリースするグランデバスから新たにハンチョウ(HOCHO)というワームが発売されました。HOCHOって、ボスとか長、頭(かしら)って意味なんだそうで、まさに班長です。
6インチサイズのストレート系ワームですが、個人的にはかなり気になるデザインです。先っちょのテールは”スティンガーテール”と呼ぶそうです。トータル6カ所でくぼみがあるややバルキーなデザインで、ノーシンカーからワッキー、ジグヘッド、テキサスリグ、キャロライナ、ジグヘッドと何でも相性が良さそうです。ボディー全体にも細かいリブがあって、水かみも良さそうです。これは釣れそうですね。
http://www.grandebass.com/
安い!!
まさにコピー商品です。まんま同じクローンと言った方がいいかもしれません。もちろん、日本から輸出しているわけではありませんが・・・。フナベイトのそっくりさん”ジョインテッド・シャイナー”は17.99ドル、ティンバーフラッシュのそっくりさん”2ピース・ウッドゥンウィグラー”は9インチサイズが19.99ドル、7インチサイズが17.99ドル、ノイジーダックスのそっくりさん”マシンガン”は26.99ドルです。日本の相場よりもかなり安いので、さらにビックリです。
これらは以前紹介した偽River2Seaの仕業だと思います。本家と偽物は工場が別とか言いながら、実は横流し品かもしれません。実際、偽River2Seaのホームページには他にもお馴染みのルアーのクローンがいっぱいです。それにしても、70年も続く老舗マスキールアーメーカーまでが、キャラが全く違うこんなルアーを販売してしまうのは残念ですね。
http://www.bobbiebait.com/