ライフジャケットの着用義務の拡大 ちょっと脱線


 続きを書く前に、少し脱線します。先日、アメリカで悲しい事故がありました。ボクもたまにエントリーするトーナメントと同じカテゴリー、Costa FLWシリーズのレイク・オキチョビー戦で、初日1艇のボートが帰着せず、ボータ-とコアングラーが行方不明となりました。ボータ-はその後、深夜に無事が確認されましたが、コアングラーは1週間後に遺体で発見されました。事故の詳細はまだ捜査中ということもあって、公表されていませんが、新年早々の大きなトーナメント中の事故ということもあり、アメリカでは大きな話題となりました。
アメリカのトーナメントは本当に命がけです。コアングラーで参加するときは正直、何度も怖い思いもしました。高いエントリーフィーを払い、高額の賞金が掛かっている分、みんなテンションが上がっているので、普段よりも無理をしがちです。ボクの知り合いも数人、落水事故や落水ギリギリの事故を起こしています。だからこそ、ライフジャケットは万一のときに生きるか死ぬか決するかもしれない重要なものです。ルールだからとか、そんな安易に選ぶわけにはいきません。
こういう事故が起こると、いつも同時多発的に「膨張式は危ない」、「固形式(フォーム式)の方が安全」といった意見がネット上に飛び交います。命に関わることなので、ボク自身、どっちが安全とか断言するつもりはないですが、ひとくくりに膨張式、固形式と二者択一に語るのは非常に危険だと思います。最終的にどちらを選ぶかは個人の問題ですが、もう少し、万一のことを想定しながらライフジャケットを選ぶべきだと思います。
膨張式といっても、手動のみ、手動・自動の2タイプがありますし、サスペンダータイプとウエストベルトタイプがあります。ウェストベルトタイプの中には気室が外に飛び出すタイプもあります。あくまで個人的な意見ですが、バスボートに乗る人は膨張式ならサスペンダータイプの自動膨張タイプを着用するべきだと思います。バスボートの場合、落水と同時に気を失ってしまう可能性があり、手動では話になりませんし、ウェストベルトタイプも、完全な脱力状態で、顔を水面上に出して、呼吸を確保して浮いていられるか怪しいからです。もちろん、本当に万一の際に自動膨張が機能してくれるのかという、根本的な不安はつきまといますが・・・。
固形式はもしもの際に膨らまないかもといった不安はありません。ボートがスピンしたりして、落水する際にライフジャケットがクッションになって、肋骨の骨折を防いだなんて話もあります。だからといって、固形式の方が安全といった神話はあまりあてになりません。そもそも、固形式の浮力は膨張式ほど高くありません。股ひもをしていなければ、落水と同時にスルッと脱げてしまうこともありますし、気を失った際に呼吸を確保した姿勢で浮いてくれるかも怪しいものです。
そもそも日本とアメリカでは少し事情が違います。日本は釣りをしているときもボート上ではライフジャケットの着用が義務づけられましたが、アメリカではまだ義務化されていませんし、トーナメントにおいても走行中以外は特殊なケースを除いて、ライフジャケットの着用義務がありません。つまり、動きにくい固形式をボート走行中だけ着用するという選択肢があるわけです。一方の日本では動きにくくても釣りをする際に脱ぐわけにはいきません。実際はこのルールが逆効果となって、日本では安全軽視、動きやすさ優先のウェストベルトタイプが、広く普及してしまいました。

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