唯一無二の名作クランク その6


Imgp5006  仮に旧モデルのスピードトラップの方が新モデルよりも釣れるとなった場合に大きな問題があります。実は旧モデルのスピードトラップは、他のルアーに比べて極端に熱に弱いのです。真夏の炎天下でタックルボックスの中に入れておくと、確実に熱で内部の空気が膨張して?膨れてしまうのです。シャープなボディシェイプが売りのスピードトラップがメタボな体になってしまうと、それはもう本来のスピードトラップではありません。それでもまだ左右均一に膨れてくれれば、まだ使えないことはないですが、左右非対称に膨れることも多く、バランスが悪くなって使えなくなってしまうのです。
Imgp5010  つまり、旧モデルのスピードトラップはたくさんストックしていても、熱で膨れてどんどん使えなくなってしまうのです。ボクも今までに何個ダメにしたか分からないぐらいです。新モデルのスピードトラップはまだ使いこんでいませんから、夏場に膨れるかどうかは分かりませんが、おそらくこの問題が解消されているような気がします。
 なぜ、旧モデルのスピードトラップは膨れやすかったのでしょうか? スピードトラップは浮力を最大限引き出すために、ボディー外壁が薄く作られています。これを”シン・ウォール・コンストラクション(Thin-Wall Constraction)”と呼んでいます。外壁が他のルアーに比べて薄ければ、当然強度が弱く、膨れやすくなります。前回お伝えしたように、新型と旧型の重量を比べるとほとんど違いがありませんでした。もし、新型の外壁が厚くなっているとすれば、その分ボディーは重くなっているはずです(しかも新モデルは若干ボディーサイズも大きい)。ボディが重くなった分、固定ウェイトを軽くして、全体の重量を同じにしたとなると、新型のバランスが大きく変わった点のつじつまが合います。
 次に思い浮かべるのは素材の違いです。旧モデル、新モデルともにクリアな素材が使われていますが、素材の硬度が違う可能性も考えられます。あくまで感覚ですが、旧モデルのスピードトラップは軟らかい気がするのです。例えば同じクリアといっても、新モデルのリップはやや透明度が低く白っぽい色をしています。スピードトラップを軽く棒でく叩くと、旧モデルは鈍い音がしますが、新モデルは硬そうな音がします。新型のラトル音がカン高く響くのもそのためかもしれません。実は旧型のウィグルワートにも同じクリアボディーでも硬い素材と軟らかい素材があると言われ、アーロン・マーテンスなどは軟らかい素材の鈍いラトル音がするウィグルワートを好んで使っています。
 旧モデルと新モデル、たいていの場合はなぜか旧モデルの方が釣れるケースが多いのは不思議な現象です。ですが、もしかしたら、新モデルもけっこうイケてるかもしれません。こういうのは、2、3日の釣りで分かるものではなく、多くのアングラーが何日も釣りした経験から、感覚的に分かるものだと思います。数年後、旧モデルのスピードトラップがプレミアになっていないことを願っています。
 

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