日別アーカイブ: 2008年4月28日

唯一無二の名作クランク その5


Imgp5000  名作クランク、スピードトラップは旧モデルのメキシコ製と新モデルの中国製では、いろいろ相違点があることを前回紹介しました。それだけ変わると、形や名前は同じでも、別のルアーと言ってもいいぐらいです。トム・スィワードはかつて雑誌のインタビュー記事で「自身がコントロールできるメイド・イン・USAにこだわりたい。最近は多くのメーカーがバスもいない国でルアーを作っている」と答えていました。
 では肝心のアクションはどうでしょうか? 実は両者のアクションの違いは、明確に分かるほどではありません。最も重要なハイスピードリトリーブでもバランスを崩さないという点に関しては新型でも合格点をあげられると思います。これはトム・スィワードのデザインが優れている証でしょう。ただ、新モデルはリップが薄くなって、ラトルボールのウェイトが大きい分、微妙にアクションが大きくなったような気がします。また、ボディーが大きくなった分(ウェイトは旧型とほぼ同じ)、浮力が大きくなったようです。というのも、旧モデルはどんなスローリトリーブでも厚い(重い)リップも手伝って、しっかり潜っていきますが、新モデルは浮力のせいで潜りにくく、スローリトリーブではウェイキングが可能なぐらいです。もちろん、スピードトラップはハイスピードリトリーブがお作法ですから、わざわざスローリトリーブで使う必要はありませんが、この違いは最大潜行深度に違いが出てくると思います。スピードトラップは意外によく潜るのもセールスポイントなので、この違いが釣果にどう影響するか興味深いです。
 そして、ボクが一番気になるのがラトル音です。旧モデルのラトル音はおとなしく、ときには鳴っているのかどうか分からないぐらいですが、新モデルはカンカンと大きく鳴り響く感じです。ラトル音って、大きければいいというものではありません。もちろん、大きいラトル音が効くこともあれば、ノンラトルが効くこともあります。ただ、バスにとっては旧型と新型では、ボク達以上に明確にその違いを感じ分けるはずです。
 中国製のルアーは粗悪というわけではありませんが、今回の件はバンディッド同様、オリジナルのデザイナーの真意やこだわりを無視して、コスト削減のためだけに安易に中国に丸投げで作らせる典型的な悪い例です。トム・スィワードが去り、親会社のラパラがビジネス優先でスピードトラップのコピー商品を作ったにすぎません。
 「旧モデルは釣れたけど、新モデルは釣れない」なんていう噂もチラホラ聞こえ始めています。ボクはまだ真剣に使い比べていませんから、なんとも言えませんが、新モデルも旧モデル同様に名品であってほしいものです。