小さな侵入者の脅威 その5


 この問題をいろいろ調べているうちに、日本にも脅威の貝がいることが分かりました。カワヒバリガイといって、中国原産の淡水性の二枚貝です。1990年代に侵入し、すでに琵琶湖、淀川水系、木曽川水系、霞ヶ浦等で確認されているそうです。クアッガ貝やゼブラ貝と同様に定着性の貝で、大量発生して水路や導水管をふさぐ被害が出ているそうです。当然、環境省の特定外来生物にも指定されています。見た感じはゼブラ貝やクアッガ貝と違って黒く、海にいるイガイにそっくりです。
 ところで、このカワヒバリガイという存在をボク達バスフィッシャーマンはどれくらい知っているんでしょうか? そういうボクも知りませんでしたが・・・。アメリカには各州にFISH&GAMEといった行政機関もありますが、日本にはバスフィッシャーマンに対して、注意を促すような機関はほとんどないのが現状です。金儲け以外に興味がない日本の某トーナメント団体や広告主の顔色ばかり気にしている釣り雑誌には期待できそうにありません。
 日本のバスアングラー、特にトーナメントアングラーは日本各地を転戦したり、琵琶湖や霞ヶ浦で浮かべたすぐ翌日に他の水系やダム湖でボートを浮かべるというケースがあります。日本でコイヘルペスが流行したときでも、バスアングラーに対して、ボート乗り入れへの注意が発せられることはありませんでしたが、アメリカでLMV(ラージマウスバス・ウィルス)が流行したときは、アメリカではボート乗り入れへの厳しい注意が発せられました。日本はこのまま無警戒でいいのでしょうか? バラスト水同様、知らなかったでは手遅れになりかねません。日本の内水面の環境が悪くなったのは、何でもかんでもバスのせいにされて、「バス=害魚」のレッテルを貼られてしまいましたが、今度は「バスフィッシャーマン=外来種や病気をばらまいた元凶」と呼ばれないか心配です。

小さな侵入者の脅威 その5」への11件のフィードバック

  1. GRANBASS

    木本様 ご丁寧な返信ありがとうございます。お気遣いまでいただき恐縮ですが、試合結果が悪かったのは、ボクの修行不足ですので、ご心配無用です。それよりも、1人でも多くの方と真面目に意見交換ができるのは、ボクとしてはたいへん嬉しいことですので、これからもよろしくお願いします。

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  2. 木本 暁信

    うーん・・・アメリカでもそんなものですか・・・
    「環境を保全しよう」という理念と、実際の運用法にギャップがあるのは日本に限ったことではないのですね。
    たとえ意識が高くても方法が間違っていれば、その効果が薄いのも事実です。
    ただ、重い腰のわが国の行政とはすごい開きがあることもわかりました。
    私は、環境問題はあくまで、全体が一定のコンセンサスがあって初めて解決の糸口になると考えております。
    では、それをどう広めていくのか?と考えた場合行政がやれば、一番みんなが納得するのではないかと思ったしだいです。
    GRANBASS様のおっしゃる懸念は察します。蔓延してしまえば、先陣を切ってバスアングラーが標的にされる可能性は否めません。消極的な考え方ですが、釣りをしない人間にしてみれば、悪い魚をばら撒く環境破壊者だと思われることはあっても、エコロジストだと見てくれる人はほとんどいないのも事実です。(これも行政やマスコミのミスリードのおかげです。)
    PS.試合の最中にタイミングの悪いコメントをしてしまい、大変申し訳ありませんでした。もし集中を切らせてしまったのであれば、これは完全に私が「悪者」です。
    大変申し訳ございませんでした。
    次戦、どうかがんばってください。応援しております。

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  3. GRANBASS

    木本様 コメントありがとうございます。ボクはJBを悪者にしたいわけではありません。ただ、近い将来、日本のいたるところでカワヒバリガイが蔓延してから、その原因がバスアングラー全体のせいだと言われないためにも、最も影響力があるJBにはその旗振り役として期待したいと言っているのです。事実、日本のあちこちにボートを牽引して釣りができる人なんて限られた人たちですから。
     国であり行政に期待したいという意見もごもっともですが、木本様は本気でこの国の行政を信頼していますか? 後手後手に回って、まったく効果も期待できない外来生物法を今頃作って、税金の無駄使いをしているところに何が期待できますか?
     今回、この問題の最前線といもいうべきレイク・ミードに行ってきました。レジストレーションでは、行政の人間がやってきて、ゼブラ・ムッセルに関する説明が10分ほど行われました。各マリーナにも看板が掲げられていました。トーナメント最終日にはマリーナで熱水でトレーラーとボートの洗浄が義務的に行われていました。費用はボート1艇につき50ドルも請求されていました。ところが、現実はライブウェルの中身はまったく洗浄されないお粗末なもので、50ドルを払わされても、これでは効果はほとんど期待できません。アメリカの行政もこんな程度なんです。

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  4. 木本 暁信

    初めてコメントさせていただきます。
    こういった環境問題がでると、どうしても一部のトーナメント団体が悪者にされがちですが、この種の話は、そういった限られた団体の小さな問題とは、根本的には異なると思います。
    この問題で、真っ先に槍玉に挙げなければならないのは、「国」であり「行政」にほかなりません。
    アメリカでは行政がルールを作っているのに対し、日本では、トーナメント団体がルールを作らなければならないというのはおかしな話だと思いませんか。
    「クワッガ貝が危険だから気をつけましょう」と言うだけなら、そのことを知っている人間ならば誰でもできます。しかしそれを言われてどれくらいの人が従うでしょうか?ましてや規制を破る人間に対し、一団体が制裁を下すことができるのでしょうか。
    この問題は個人が個人が自分の作ったモラルのもとで行動するような小さな範囲の話では絶対に防げないことです。
    行政が、権力をもって規制をし啓蒙すべき問題だと考えます。
    GRANBASS様
    いつも楽しくかつ刺激を受けながら拝見させていただいております。突然書き込んで、不躾でえらそうなことを書きましたが、どうしても今回は譲れない部分があったので、書き込みさせていただきました。
    大変とは思いますが、アメリカでのトーナメント、がんばってください。

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  5. GRANBASS

     ボクはJBに所属したことがありませんから、内情はよく分かりませんが、一般の人の見る目って、ボクと同じではないでしょうか? ボクが期待したいのは、JBの持つ情報発信力と影響力です。誰かが伝えないといけない大事な問題なんです。
     たとえば、トップ50の選手って、団体が認めないと出場できないわけで、団体は選手を除名追放だってできるわけですよね? そういう面ではJBは選手を統率していると言ってもいいんじゃないでしょうか? ボクは「選手の各々のプライベートな釣行にまでJBが責任を負え」と言っているつもりはありません。当然、JBの選手にはプロとしての自覚を持って、全国の一般アングラーの模範となる行動をとってもらいたいと思っていますが・・・。ただ、JBの試合自体が、カワヒバリガイ等を蔓延させるかもしれない危険性がある以上、その主催者であるJBは何らかの責任を負ってしかるべきだと思うのですが、いかがでしょうか?

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  6. oni

    う~ん、JBやそのほかの団体が所属する選手を統率するっていう解釈が微妙に違うんですよね。
    あくまでも選手や個人が主であって、団体がその個人の行動に責任は負えないと思いますよ。
    各団体の試合に出るために、その団体の規則に従うのは当然ですが、参加するのも辞めるのも全くの個人の自由ですから、会社や学校のように属する人間の行動や行為によって、団体やその代表が責を負うっていうのは、ちょっと違う。
    例えば、Jリーグやプロ野球の球団であれば、個人を保有し拘束しているわけだから、選手の不祥事や行動に責任はあるでしょうけど、JBも他の団体も、そんなたいそうなものではないでしょう。
    確かにJB選手はトレイルするし、バスアングラーの代表としての自覚は持つべきでしょうが、マナーや規制の問題になるとすぐにJB選手はかくあるべき、団体としてこうするべき、って声があがるのは、不当だと思いますよ。
    JBの、とか~のって団体の名前を頭に持ってこないで、有名プロ(メディアプロも含めて)は、こうするべき、って意見なら、正論だと思いますが。

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  7. GRANBASS

     せっかく、貴重な意見をいただいていたのに、気がつかず、承認しないまま放置してしまい、大変失礼しました。なるほど、JBには期待するなということですか。確かにボク達個人個人が誇りを持って、マナーを守っていくことが何よりも大事です。ただ、個人個人では知り得ないマナー(たとえば、今回のライブウェルの洗浄など)は、誰が教えてくれるんでしょうか? B.A.S.S.やFLWだって営利活動していますし、JBに金儲けするなと言うつもりはありません。ただ、JBはプロと呼ばれるバスアングラーの集団を統率する団体ですよね。プロというのはただ釣りが上手いだけではなく、バスアングラーの模範となって、釣り業界の将来のために貢献する役を担っていると思います。ならば、団体は率先して全国のバスアングラーに対しても直接的・間接的な旗振り役となるべきだとボクは思います。全国のバスアングラーに対して、JBよりも影響力を持って情報を発信できる団体・組織・機関は残念ながら日本にはありません。
     そもそも、大型のバスボートを牽引して、全国あちこちで釣りをする人たちって、ほとんどJBの選手ぐらいですよね。確かに、一般のアングラーでもそんな人はいるでしょうが、仕事があるので、毎日釣りができるわけではありません。仮にライブウェル内にカワヒバリガイが紛れ込んだとしても、1週間以上放置すれば生き残る確率も減るでしょう。先日、旧吉野川でJBのトップ50トーナメントが開催されたようですが、前日まで、または2-3日前まで琵琶湖等、他の水域でボートを浮かべていた選手が何人いたのでしょうか? そして、彼らはルールにしたがってライブウェルの洗浄行為を行ったのでしょうか? トップ50の第2戦は電源開発が管理するダム湖ですよね。万一、カワヒバリガイが侵入し、発電施設周辺で大量発生すれば、その被害は甚大です。それがきっかけで全国のダム湖の釣り場が閉鎖されないとも限りません。日本のトッププロと呼ばれる人は、そんな危機意識を持って活動しているのかとても危惧しています。

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  8. oni

    このルールは知っていますよ。ルールブックに明記されているんだから、少なくとも転戦があるマスターズ以上の選手は知っていなくてはならないですよね。でも、残念ながら罰則規定が無いのでほとんど守られてないでしょう。
    ただ、環境問題にせよ、釣り場のルール(マナー?)にせよ、なぜJBが考えなければいけないのか疑問ですね。所詮有志の釣り団体ですよ。そこにビジネスとして利用する釣り具業界があって、たまたまデカくなったからフルタイムで生活する選手もいるだけ。
    私はJB登録していますが、別にJBがバスアングラーの代表だとも思わないし、なって欲しくも無いですね。JBは好きでもないし嫌いでもない。でも個人としてバスアングラーとしての誇りやマナーは持っています。
    団体が存続し運営していくためには???なルールも理不尽な要求もあるでしょう。B.A.S.S.もESPNになってからは顕著だし、FLWなんかもろに利益誘導バリバリだし。
    脱線しましたが、JBだろうと他団体だろうとバスアングラー個人個人の何も代表していないってことです。だから、バスを守るのも、マナーや釣り場のルールを作るのもアングラー自身でであって団体ではないと思いますがね。

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  9. 匿名

    そこが問題なんですよ、じゃあどこで洗うの?っていうこともあるし そのルールがあるのを知っている選手は少ないかもしれませんね。
    ルールだけ作っても守らなきゃ意味がないと思いますし ルールだというのならJBもそのことに罰則を作ったりするべきですよ、プライベート釣行においてもマナー違反があるときは試合でぺナルティーが科せられるんだしこおいった環境問題はJBにはもうちょっと考えてもらいたいです。
    あとJBの選手だけじゃなくて一般アングラーにも呼びかけていかないとJB選手がいくら頑張ってライブウェル洗浄をしても意味がないと思いますね、プロより一般アングラーの方が多いんだし。

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  10. GRANBASS

     JBにそんな立派なルールがあったなんて知りませんでした。ところで、それってJBの選手には広く知れ渡っているんでしょうか? そして、何のためにそれが必要なのかも理解しているんでしょうか? ボクにはそのルールがとても守られているようには思えませんし、危機意識がまだまだないようで心配です。

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  11. 匿名

    一時期、霞ヶ浦水系で鯉ヘルペスが騒がれた時も、何も分かっていないコメンテーターが「外来種のバスやギルが菌を繁殖しているんではないか」と言っていたのを覚えています。バスに鯉を殺すような菌を作れるわけないのにそおいった間違った報道はやめていただきたいですよね、あの時はホントに頭にきました。
    この問題を知ってからだったかは覚えてないけど鯉ヘルペスを増やさないためにJBのルールにもライブウェルやトレーラーを洗うようにするルールを作りましたからね。

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