小さな侵入者の脅威 その3


Zebra2020quagga20mussels

 今、カリフォルニアで深刻な事態をもたらしている元凶は、クアッガ貝(QuaggaMussel)とゼブラ貝(Zebra Mussel、和名はカワホトトギスガイ)です。Musselとはイガイ科の定着性(岩などに付着する)の二枚貝の総称のようです。ともに外来種の淡水性の二枚貝で、大きさはクアッガ貝が最大で20mm、ゼブラ貝が最大で15mmと小さな小さな貝です。
Map  クアッガ貝はウクライナから、ゼブラ貝はロシアのカスピ海から、大型タンカーのバラスト水に紛れて、セントローレンス川を遡って、五大湖に侵入してきました。五大湖で初めて発見されたのは、80年代ですが、その後、ミシシッピリバーからオハイオリバーへ、その後全米各地へものすごい勢いで生息域を広げているところです。
Removing  アメリカでは特にゼブラ貝が悪名高く、各地で甚大な被害を出しています。これらの貝は非常に繁殖力が強く、1個の貝が年間に数百万個の卵を産むそうです。どこにでも堅いものに無数にビッシリと定着し、電力発電所や上下水施設、農業用水等の入水口や導水管内部に大量に繁殖すると、取水が不可能になったり、導水管内部を詰まらせたりして、さまざまな利水施設の運用・管理に莫大な影響を与えています。中には停電を引き起こした例もあります。また、スリップやプライベート桟橋などにボートを浮かべっぱなしにしていると、船外機やボートのハルにも定着し、ボートを痛めたり、冷却水が詰まって送れず、故障を引き起こす原因にもなっています。

Zebramussel  ゼブラ貝は成体1個で毎日1.5リットルの水を濾過する能力を持っているそうで、ゼブラ貝が大繁殖すると、水は澄みきってしまうそうです。そう聞くと、水質浄化に良さそうな気もしますが、水中の栄養分を一人占めした結果、藻類が激減し、さらにそれに依存していた小魚や動物プランクトンも減り、生態系のバランスが大きく崩れてしまうそうです。また、これらの貝は五大湖の在来の二枚貝の表面に付着したり、ザリガニの殻にまで付着して、直接生物を死に追いやることも知られています。
Crayfish_2   日本にはゼブラ貝もクアッガ貝もまだ発見されていませんが、環境省の特定外来生物のリストに入っていて、その侵入が警戒されています。

小さな侵入者の脅威 その3」への7件のフィードバック

  1. GRANBASS

     日本は1700万トンのバラスト水が海外から持ち込まれ、逆に3億トンのバラスト水を海外に排出しているそうです。2004年になって、やっとバラスト水に関する国際的な規制ができたようですが、ちょっと手遅れといった感じがしますね。そもそも、スクリーン、フィルター方式では、この膨大な水を完全に濾過することなんて不可能ですよね。貝の幼生なんて、小さな小さなものですから・・・。

    返信
  2. 匿名

    タンカのバラスト水も最近では機械でフィルターに通してから流したりしていると放送していましたよ。
    今のとこ日本では発生していないみたいなんですが日本も人事のようには言えないでしょうね。
    でも、その番組の中ではタンカのバラスト水で入ってきたと思われる寄生虫がいるらしいです、なんでもアサリの体に幼虫の時に入り込んで貝の中で成長をしつずけて最後には体液を吸い尽くして殺してしまうという外来生物らしいです。それだけでものすごい被害が出てるみたいです。

    返信
  3. GRANBASS

    narita様 タンカーのバラスト水の問題は世界中で問題を引き起こしていますね。日本にもやって来るばかりではなく、日本の海の生物も世界に渡って問題となっているようです。今考えれば、とんでもないことなんですが、当時は何の問題意識もなくやっていたんでしょうね。
    シゲジー様 さっそく、その話が来ましたか。鋭い指摘ですね。その貝はカワヒバリガイだと思います。こちらも大問題です。

    返信
  4. シゲジー

    先日、渡米しているプロバサーとこの問題で話をしたのですが、北浦の漁師さんの船外機に貝が付き機関故障の被害が出ていて問題になっているそうです、ここに記されている貝なのかは不明ですが?

    返信
  5. GRANBASS

    そんなタイムリーな番組をやっていたんですか? ボクは見逃してしまいました。それって、アメリカの話でしたか? まだ日本では確認されていない貝のはずですから・・・。

    返信
  6. 匿名

    先日、「近未来予測研究所」という番組で放送されていた外来生物ですね。
    硬いものには何でもこびりついてしまうという貝みたいですね。
    日本の東京湾も外来生物だらけでそのうち東京湾で魚が捕れなくなってしまうと放送されていました。

    返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください