今回のバスマスタークラシックはアマケンのツイキャストのおかげで、日本にいながらにしてマーシャルの気分が味わえました。一昔前では考えもしなかったことですが、インターネットの力って偉大です。近い将来には、本当にすべての選手をオンラインで生中継で見ることが可能になるかもしれません。
ところで、このライブ中継は選手にとって大きな問題も抱えています。それはポイントや釣り方、使用しているルアーまで赤裸々に暴露することになるからです。アメリカのトーナメントはウソが溢れています。プロが公式にコメントするウィニングルアーなんて半分も信用できません(経験上)。プロがバスをキャッチ後、ルアーを外すとポイッとカメラの視界の外に投げてしまうシーンをテレビでよく見ます。これはルアーを映されるとまずいからです。
一昔前のトーナメントならともかく、今のトーナメントはお金が掛かります。当然、自身の資金力だけで出場するにはリスキーで無理がありますから、スポンサーに頼らざるをえません。スポンサーメーカーにしてみれば、大金払って他社のルアーを宣伝されたらたまったものじゃありませんから、当然、プロはスポンサーメーカーのルアーを使ったと言わなければなりません。ライバル他社を宣伝したらクビなんて契約もあると聞きます。
確かに本当に自身のスポンサーメーカーの商品をメインに試合に臨む選手もいます。また、ウソはつかないまでも、ルアー名を公表しない選手もいます。BASSFANのレポートでよく”unnamed”と表記されるものがそれです。これは契約上言えなかったり、言いたくなかったり、と理由もいろいろです。
中には正直にスポンサーメーカー以外のルアーを正直に公表する選手もいます。代表的なのが大森貴洋さんやアーロン・マーテンス、スティーブ・ケネディーなど。ただ、彼らはあくまで少数派です。
月別アーカイブ: 2012年2月
クリス・レーンという男
まだまだクラシックの興奮が冷めないボクです。正直、クリス・レーンのファンだったわけではありませんが、今回のクリスの優勝は感動的でした。せっかくなので、クリス・レーンについて紹介してみたいと思います。
以前にもレーン兄弟については紹介したことがありまして、こんな記事を読み返すと感慨深いです。
クリス・レーンは先月、フロリダ州ハリスチェインで開催されたB.A.S.S.サザンオープンですでに優勝を決めていて、絶好調です。しかしながら、クリス・レーンはずっとスランプに苦しめられていました。
2008年にボビー・レーンとともに初のクラシック出場をしましたが、49位でフィニッシュとなりました。その後2009年、2010年、2011年とクラシック出場を逃してしまいます。2008-2010年の3シーズンは賞金圏こそ全27試合中12試合と、それほど悪くありませんでしたが、安定感に欠け、大きく外してポイントを逃す試合が目立ちました。
一方のボビー・レーンは2008年のクラシック初出場を4位でフィニッシュ。2008年シーズンからFLWツアーからエリートシリーズに転向し、その年のROYを受賞。その後毎年クラシック出場を決め、2009年のケンタッキーレイク戦では優勝もしています。明らかにボビー・レーンに遅れをとった感じでした。
ところがクリス・レーンがついに昨シーズン、スランプから脱出します。全8試合中6試合で賞金圏(内2回がトップ10)、一番悪かった試合でも67位という好成績で2度目のクラシック出場を決めたのでした。
そして、兄弟の夢を兄より先に実現させたわけです。クリス・レーンはオープンやエバースタートの優勝経験はあっても、メジャークラスの試合ではこれが初優勝でした。一皮むけた今季のクリス・レーンの活躍に注目です。
ケヴィン・ワースの引退?
今回のバスマスタークラシックでKVDの連続22回出場に次いで連続11回出場となったケヴィン・ワースが今季のエリートシリーズには出場しないことを表明しています。
ケヴィン・ワースといえば、過去にケンタッキーダービーのジョッキーをした経歴を持ち、ケンタッキーウィスキー”アーリータイムズ”が長年スポンサーをしていましたが、そのスポンサー契約も昨年で切れ、今季はメインスポンサーが見つからないままクラシックを迎えたわけです。
アマケンのツイキャストで大森さんの生中継を見た人なら、ラッピングがないボートで釣りをするケヴィン・ワースを覚えているかもしれません。ウェイインステージでもトーナメントシャツを着ないケヴィン・ワースの姿がありました。
ケヴィン・ワースは昨シーズンは全8試合中6試合で賞金圏(トップ10が1回)、2010年は全8試合中5試合賞金圏、2009年は全8試合中4試合賞金圏(トップ10が1回)、2008年は全11試合で8試合で賞金圏(優勝1回)という安定した成績で、とてもやっていけない成績ではありません。にもかかわらず、スポンサーも集まらず、エリートシリーズを去ってしまうのは非常に残念です。
ケヴィン・ワースは日本ではそれほど有名なアングラーではありませんでしたが、ボクの好きなアングラーの一人でした。まだ49歳ですから、リタイヤするにはまだまだ若すぎます。いつかまた第一線に帰って来ることを期待したいです。
大注目のブランド誕生
バスマスタークラシックにも出場中のジョン・クルーズが自身でミサイルベイツというワームメーカーを立ち上げました。日本ではまだまだ認知度は低いですが、33歳の若手?で、エリートシリーズは初年度から出場、今回が6度目のクラシック出場となります。
実はエリートプロ自身が本格的にワームメーカーを立ち上げたのは初めてのケースとなります。日本では有名バスプロがメーカーを立ち上げるのはよくあるケースですが、アメリカではトーナメンター自身がルアーメーカーを立ち上げるのは非常に珍しいケースです。
最近のアメリカのワームメーカーは、流行を追ったり、コピー合戦だったりと、オリジナリティーがないものが溢れていますが、ジョン・クルーズは自身がトーナメントで使いたいものを商品化する目的でミサイルベイツを始めただけに、今後の展開が非常に楽しみです。
ミサイルベイツのプロスタッフには、プライベートでもジョン・クルーズと仲の良いイッシュ・モンローも加わっています。
http://missilebaits.com/
ドンキーリグ??
ここ数日のボクのブログにおける検索エンジンからのアクセスランキングでドンキーリグというキーワードが突然1位になっています。
なぜ、ドンキーリグなのでしょうか? もちろん、ダブルフルークというキーワードも上位に入っていますが、明らかにドンキーリグというキーワードが世間でにわかに注目されている感じです。
そもそも、このリグはダブルフルークリグというのが一般的にアメリカで認知された言葉です。ドンキーリグと言っても、それをダブルフルークリグとイメージする人はそれほど多くないと思います。新しいリグでも何でもなく、10年以上も前からやっている人はいます(誰が最初に始めたかは不明)が、どちらかと言えば、マイナーな釣り方でした。もちろん、過去に何度かメジャートーナメントでウィニングメソッドになっていますが・・・。
ボク自身、過去に何度もブログやメディアにダブルフルークリグを紹介しましたが、今まではあくまでゲテモノ扱いで、注目されることはほとんどありませんでした。それが、アラバマリグの登場で、複数のルアーを同時に使うことへのアレルギーというか拒絶感がなくなり、逆に複数のルアーを同時に使う有効性を見い出し、興味を持つ人が出てきたようです。
また、今回のアラバマリグ騒動で、B.A.S.S.のエリートシリーズではダブルフルークリグの使用まで禁止になってしまいました(オープン戦等では今も使用可)。これは、別にダブルフルークリグがアラバマリグ同様に釣れすぎるから禁止になったわけではなく、アラバマリグを禁止にするための整合性をとるために、ワンロッド・ワンルアーで線引きをする必要があったからです。いわゆる”とばっちり”というやつです。
言うまでもなく、フルークとはズームのスーパーフルークから来ています。ただ、今やソフトジャークベイトのことをフルークタイプベイツと呼ぶほど、ダブルフルークリグとはスーパーフルークを使うときのみを指す言葉ではありません。
にもかかわらず、ストライクキングのプロスタッフでもあるマーク・メネンデスがあえてダブルフルークリグと呼ばず、ドンキーリグと呼んだのでした。なぜ、ドンキーと名付けたのか、その由来もよく分かりませんが、マーク・メネンデスは当時(2006年あたり)ストライクキングのジャークベイト”ズルー(Zulu)”を使っていたので、フルークという言葉を使いたくなかったのでしょう。
一方、同じストライクキングのチームメイト?であるKVDはドンキーリグとは呼ばず、ダブル・ズルーと呼んだりしています。しかし、今やズルーは廃盤でどこにも売っていません。
今も一般的にはダブルフルークリグが浸透していて、ドンキーリグと呼ぶ人はほとんどいないと思います。これって、日本でもいますよね。わざわざ、浸透している言葉を別の言葉で言い換えたり、使うワーム別にリグ名を付けて、業界をややこしくさせる人って・・・。ボクは昔、出版社に勤めていましたけど、こういうのって困るんですよね。
そういうわけで、日本でもドンキーリグと呼ばず、ダブルフルークリグで統一して呼ぶのがいいと思うのですが、いったいなぜ、”ドンキーリグ”が注目されているんでしょうか? マーク・メネンデスといえば、確か並木敏成さんと親交が深かったように思いますが、並木さん周辺の関係者が”ドンキーリグ”を推しているんでしょうか? ご存知の方がおられたら教えてください。
実はヴィクセン似
先日、ストライクキングから発売されたペンシルベイトを紹介しました。そのときは写真のアングルでサミーにそっくりに見えたんですが、新しい画像を見ると、ヴィクセン似でした。
ヴィクセンはアメリカのトーナメンターの間では定番のペンシルで、先日もB.A.S.S.のサイトにアップされたアーロン・マーテンスの記事においても、アーロンのストレージの中の写真(下)で、しっかり登場しています。
また、昨年のフォレストウッドカップではルーク・クラウセンをはじめ、上位フィニッシュした数人がヴィクセンを使用していました。
さすがに、ストライクキングもそんなヴィクセンをコピーしたというわけですね。でも、よく見ると似ているのは外見だけで、肝心なところはコピーしていないようです。
近い将来のバストーナメント
昨晩は友人2人とスカイプで繋ぎながら、ビール片手にアマケンのツイキャストでクラシック出場中の生中継の大森さんを応援しました。アマケンが提唱する新しいトーナメント観戦の姿というものを体験させていただきましたが、アメリカまでクラシック観戦に行くより、楽しめたかもしれません。いつかは本当に全出場選手の生中継が見られる時代がくるかもしれませんね。
今晩はビールのつまみをしっかり用意して、観戦したいと思います。
レイク・オキチョビーの鉄板カラー
アメリカに釣りに行くと、その釣り場の周辺のショップでの情報収集は非常に役に立ちます。アメリカといっても広く、西海岸と東海岸では気候も違えば、ベジテーションやベイトフィッシュの種類や習性も違います。地形や地質が違うので水の色も違います。そして、釣れるバスの種類も違います。
そして、当然それらの釣り場に合わせたご当地の定番な釣り方やルアー、カラーがあったりします。それがアメリカのバスフィッシングの奥深さでもあります。そして、そんなご当地の情報を収集するには、ご当地のショップに行くのが何よりも手っ取り早いわけです。
別にショップの店員に聞かなくても、ショップ内のレイアウトや陳列されたルアーを見たり、お客さんの動向を観察すれば、ご当地情報は一目瞭然です。
たとえば、今回のオキチョビーではスキニーディッピングが時期的にもドンピシャで、多くの人がスキニーディッパーやスキニーディッパーもどき、EZスイマーなどを数パック、手に取ってレジを向かうのが観察できました。
カラーは決まって、ペネトレーションかフーディニー。実際、この2色はほとんどのアングラーのデッキに用意されていましたし、実際に良く釣れました。面白いのはショップによっては、この2色だけバルクパックが用意されていたことです。ロコのアングラーにとっては、1パックずつ買っていたのでは面倒なぐらい、この2色さえあればいいということを教えてくれています。
Best Value
レイク・オキチョビーの周辺のショップで目を引いたのがビッターズ・ベストバリューという名のオレンジのパッケージのソフトベイトです。
フロリダといえば、ジャークベイトの名手、ジム・ビッターが有名ですが、このメーカーはジム・ビッターの親類が始めたブランドのようで、1パックなら2.99ドル、2パックなら5ドルという売り方がが特徴で、フロリダではけっこう幅をきかせたブランドのようです。
フロリダで実績のあるありとあらゆる形のワームがありますが、ほとんどがコピーで、オリジナル商品はほとんどありません。ところが、ここのワームはマテリアルの感じが良くて、バカにできないぐらい良くできています。実は優勝したランドール・サープもここのビーバータイプを使っていたそうです。
https://www.bittersbaitandtackle.com/
シャイナー
レイク・オキチョビーではエサ釣りをしているボートを多く見かけました。日本ではバスフィッシングといえば、ルアーフィッシングが当たり前ですが、フロリダではエサ釣りが意外に盛んです。よくガイドの広告で「釣れなかったらガイド代はタダ」なんてコピーを見ますが、そういうのはたいていエサ釣りです。
実際、オキチョビー周辺のタックルショップには、どこも生き餌のシャイナーが売っていました。シャイナーには天然物と養殖物があって、やはりワイルドシャイナーの方が元気でバスの食いがいいそうです。
ちなみに、このワイルドシャイナーは12匹単位のダース売りで、1ダース18ドルだと言っていました。これをシャイナーフックなどで鼻掛けにして、大きな発泡ウキを付けて泳がせて釣るのですが、見ているとボクたちルアーマンが苦戦する中、次々と竿が曲がっていきます。あんなペースだと1日何ダース必要なんでしょうか? エサ釣りも結構お金が掛かりそうです。