バス用のロッドは使用目的に応じて、素材や長さ、アクションやテーパーなどが細分化されていますが、リールはほとんど細分化されていません。ベイトキャスティングリールの場合は、親指一本で瞬時にクラッチのオンオフが切り替えられるフリッピングに便利な機構の有無があるぐらいで、ほとんどは糸巻き量とギア比が違うぐらいしか違いがありません。メーカーはというと、いつまで経っても軽さやスプール回転の軽さ(飛距離)ばかり追い求めていますが、実際の釣りではこれ以上の軽量化や飛距離アップは個人的には必要性をまったく感じません。
だいたい、フリッピング用に65ポンドのPEラインや20ポンド以上のフロロカーボンラインを巻いたリールに飛距離なんか誰も求めていません。渾身の力でフッキングを繰り返してもガタの来ない強靱なギアの方が大事です。そろそろ、メーカーも用途別やライン素材別に細分化したリール開発が求められる時期に来ているんじゃないでしょうか?
たとえば、開発者側はパーミングしやすいようにと考えて作ったボディーデザインでも、実際のアメリカ人はアタリを取りやすいようにラインを人差し指と親指でつまんで、開発者の狙い通りにパーミングせずに使っている人がたくさんいます。これって、握力が強いアメリカ人だからできるワザで、ボクがマネをしてもフッキングに力がまったく入りません。そんなことを考えていると、まだまだリール開発にはいろいろな余地が残っていると思うのですが・・・。
なんで、こんな長い前置きを書いたかといえば、今年のICASTで男前なリールが発表されたからです。メイドインUSAがうたい文句のアーデント社は今年のバスマスタークラシックを制したアルトン・ジョーンズがプロスタッフに名を連ねていますが、そのアルトン・ジョーンズが開発に協力をしたというのがF500フリッピン&ピッチンリールです。何が凄いかって、写真を見れば一目瞭然ですが、ドラグもなければ、レベルワインド機構も付いていません。ラインは細いスプール内の溝にだけ巻かれるので、20ポンドなら65ヤードしか巻くことができません。ラインを巻きすぎて無駄になることがないというわけです。完全にフリッピング&ピッチングに特化した構造で、ロングキャストは完全に想定外となっているのです。
入手してみました。結構、リールシートを選ぶリールです。ABU REBOシリーズや、ダイワリョウガ、シマノカルカッタと比べると、リールフットが3ミリ長くリールフットがクラッチ下の部分がくさび型で、厚みがあり、16サイズのリールシートが多いバスロッドは取付の出来ないものが、ありますね。