月別アーカイブ: 2008年6月

ビッグスプーンがビッグブームに その3


 最近のアメリカのブームは動画の影響を大きく受ける傾向にあります。「百聞は一見にしかず」というべきか、動画にウソ偽りはないからなんでしょうか。そして、ネットの力がそれに拍車をかけているのも事実です。たとえば、チャターベイトはトーナメントでウィニングルアーとなり、それがネット上のフォーラムで話題となり、ラドルアーのHP内の動画を見て、さらに注目が集まり、オークションで値が跳ね上がりました。スプロのブロンズアイフロッグは、デザイナーでもあるディーン・ロハスがビシバシとトーナメント中にフロッグでバスを釣って、大人気となりました。バストリックスのファットミノーもセビルのマジックスイマーもB.A.S.S.エリート戦やFLWツアーのテレビ放映がきっかけでした。昨年からKVDはどんな試合でもセクシーシャッドカラーのルアーをキャストする姿が何度もテレビで映し出されたのがきっかけです。
Kellyjordon4m2z2817  実は流行の兆しがあるビッグスプーンもまた、きっかけはテレビでした。数年前から密かにトーナメントでもビッグスプーンを使用し、実績を残していたケリー・ジョーダンが、あるテレビ番組でそのシークレットテクニックを披露したのです。私も偶然、その番組を見ましたが、スプーンの大きさにはかなりの衝撃でした。その後、ケリー・ジョーダンが使用しているスプーンの正体を知ろうと、インターネットのフォーラムでもあっという間に話題になりました。
Spoon1  ビッグスプーンはケリー・ジョーダンのホームレイクでもあるテキサス州レイク・フォークのローカルテクニックでした。ケリー・ジョーダンが使用していたスプーンは、ジョー・スペイツというオジサンが作るガレージメーカーのスプーンで、レイクフォーク湖畔のレイクフォークマリーナで売られているだけのローカルベイトでした。レイク・フォークでは実績のあるテクニックで、ケリー・ジョーダン自身もこのテクニックをレイク・フォークで磨いたのでした。ケリー・ジョーダンはエリートシリーズの試合にもこのテクニックを試し、密かにその有効性を実感していました。2年前のエリートシリーズ、ケンタッキーレイク戦では、ケリー・ジョーダンはビッグスプーンを使い、決勝進出し11位でフィニッシュしています。このとき、スプーンをキャストしているのをジョン・マーレイに見られ、後で尋ねられたそうですが、ケリーは秘密にして見せなかったほどだそうです。
 ただ、ケリー・ジョーダンの秘密のスプーンテクニックは、徐々に知られるようになり、今年になって、一気に数社から同じコンセプトのビッグスプーンが発売されるようになったのでした。いち早くリリースしたストライクキングのセクシースプーンはKVDの活躍のおかげもあって、一気に有名になりましたが、他にもレイクフォークタックルからフラッタースプーンが発売されているほか、ケリー・ジョーダン自信もプロスタッフに名を連ねるタブ・タックルからもビッグスプーンの発売が予定されているそうで、ICASTでお披露目されるそうです。

ビッグスプーンがビッグブームに その2


Sexyspoon  ストライクキングのセクシースプーンには2サイズがあります。長さが4インチのものが0.8オンス、長さが5.5インチのものが1.3オンスあります。サイズとしてはかなり大きめです。カラーはシャッド系のペイントが施され、セクシーシャッドやチャートリュースシャッド、ネオンシャッド、ギザードシャッド、ゴールドバックといったナチュラル系の5色が用意されています。価格は6.5~8ドルと、ただのスプーンとしてはかなりお高めの設定となっています。
Kevinvandam4m2z3386  KVDのセクシースプーンテクニックは日本で今流行の跳ねラバやエギの釣りに少し似ています。KVDはセクシースプーンに7フィート4インチのジグ用のヘビーアクションロッドと20ポンドのフロロカーボンライン&ハイギアのベイトキャスティングリールを使用しているそうです。基本テクニックはキャスト後、ラインを張った状態で底までフォールさせ、底についたら力強くしゃくり上げ(KVDはhopとかsnap hardと表現)、再びラインを張ったまま底までフォールさせるというものです。バイトはたいていはフォール中にあるそうです。スプーンは自重がありますが、大きな面積が水を受けてヒラヒラと揺らめきながらスローに水平姿勢を保ちながらフォールします(KVDはflutterと表現)。KVDによると一回の跳ね上げで約6フィート底から切るイメージだそうです。
 ケンタッキーレイク戦では、トップが水深約10フィートで両サイドに約20フィートに落ち込むレッジをトップからダウンヒルで狙ったそうです。トーナメント当日はカレントがほとんどなく、バスは底にタイトにつくのではなく、サスペンド気味だったそうで、フォール中にリアクションで反応したそうです。
 アメリカで流行すると、多かれ少なかれ日本でも影響があるものですが、果たしてビッグスプーンはチャターベイトのように日本でもブームとなるでしょうか? トリプルフックがそのままついた今のスプーンではウィードが濃い昨今の琵琶湖で使うのは厳しそうですが・・・。

ビッグスプーンがビッグブームに その1


06  今年から来年にかけて注目なのがビッグスプーンです。アメリカのバスアングラーの間で単にスプーンと呼べば、ホプキンスを代表とするジギングスプーンで、日本でいうところのメタルジグを指します。また、ウィードレススプーンと呼べば、シルバーミノーのようなシングルフックが固定されたものを指します。ところが、このビッグスプーンはそのどちらでもなく、いわゆるサーモンを釣るようなまさに”スプーン”です。
Kevinvandam4m2z2812  6月2週連続で開催されたB.A.S.S.エリートシリーズ第7戦(レイク・ウィーラー)、第8戦(ケンタッキー・レイク)でKVDは2位と優勝という圧倒的な強さを見せました。このとき、KVDが使ったルアーの中にビッグスプーンが入っていました。突然宣伝もなく(慌てて)今年の春に発売されたために未だにストライクキングのホームページにも乗っていませんが、その名も”セクシースプーン”といいます。もちろんKVDが使ったのはセクシーシャッドカラーでした。KVDはこのセクシースプーンでウィーラー戦4日間でキャッチしたバスの中で最大クラスとなる2匹のキッカーをキャッチし、翌週のケンタッキーレイク戦では初日の6ポンドクラスのキッカーを含む、4日間でキャッチした中で最大クラス3匹をセクシースプーンでキャッチしたのです。KVDは「セクシースプーンは数は釣れないが、ビッグバス・ベイトだ」とコメントしているように、セクシースプーンのおかげでKVDは2週間で15万3000ドルを稼いだのでした。
 また、ケンタッキーレイク戦では5位入賞したポール・アライアスもまたセクシースプーンを使用していたそうです。

もうすぐICAST


08icast_logo  今年も7月16-18日にラスベガスのコンベンションセンターでICASTショーが開催されます。毎年ラスベガスで開催されるのが恒例のようになっていますが、来年は7月15-17日にフロリダ州オーランドで開催されることがすでに決まっています。 昨年はFLWツアーやB.A.S.S.エリート戦があって、有名アングラーの姿がなく、寂しいショーだったようですが、今年はうまく日程が外れているので、ハードロックホテルのバーでは毎夜、盛り上がることでしょう。残念ながらボクは今年も行けそうにないというか、すでに八郎潟釣行の予定です。
 今年はどんな新製品が発表されるか、来年のトレンドは何か、気になるところですが、すでにいろいろ話題となっていることがあります。一つはセビルのマジックスイマーのビッグブレイクとタイミングがドンピシャで、SPROからも似たようなジョイント・リップレスベイトが発表されるようで、これが話題となりそうです。もう一つ、ボクが今一番気になっているのが、ビッグスプーンです。これに関しては近々詳しく紹介したいと思います。
 ところで、もう一つ、業界的に話題となりそうなのが、ガソリン高騰に起因する値上げラッシュです。7月のICASTを区切りに各社、新しいカタログやプライスリスト等を発表するところも多く、すでに多くのメーカーが値上げを発表し始めました。特にプラスチックワームなんかは材料の高騰がまともに響き、多くのメーカーが値上げや入り数の調整を行うようです。ボクたちユーザーにとっては困った話ですが、日本でも同じように値上げが始まりそうです。

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もう5年前の話なんですね


Aaron  トミー・ビッフルがフィッシングライセンス不所持でDQとなった話を紹介しましたが、そこで思い出されるのは2003年FLWツアー第6戦(アラバマ州レイク・ウィーラー)です。この試合はアーロン・マーテンスが2位のティミー・ホートンをわずか11ポンド差でかわしての優勝で幕を閉じました。
 この試合の最終日、アーロンは今回のトミー・ビッフルと同様に湖上でフィッシングライセンスの提示を求められました。アーロンは不携帯だったために、その場で違反切符が切られたのでした。帰着後、大会オフィシャルにその事実を告げましたが、当時のFLWのルールには「ライセンス不携帯はDQ」とは書かれておらず、FLWは「これは州とアングラーの問題」とアーロンをDQとすることなく、優勝賞金の20万ドルの返金も求めませんでした。その後、アーロンは購入したはずのライセンスを紛失しており、購入した証拠も見つからず、最終的には裁判所で不所持と判断され、罰金とボランティアを課せられたと記憶しています。
 当時は大きな話題となり、今ではFLWのルールブックにも"All contestants must have a valid fishing license."という項目が設けられています。当時、この一文がルールブックに表記されていたなら、ティミー・ホートンが20万ドルを手にしていたはずです。
 先日紹介したFLWのDQネタにしてもそうですが、相対的にB.A.S.S.に比べてFLWはルールに対して甘いと感じます。たとえば、プラクティス中のライフジャケットの着用の義務がFLWでは明記されていないために、今年も悲しい事故が起こりました。ライセンスに関してもB.A.S.S.はレジストレーションの際に提示を求められますが、FLWのレジストレーションでは提示を求められたことは一度もありません。デッドフィッシュの判定に関してもFLWはかなり甘く、どう見ても死んでいるバスでもOKだった話をよく耳にします。かっこよく言えばアングラーの自己責任を尊重しているとも言えるかもしれませんが、個人的にはキッチリしているB.A.S.S.の方に好感が持てます。

24年間で初のDQ


Tommybiffle  安定感があってバスマスタークラシックの常連、トミー・ビッフルが今季はなかなか乗り切れていません。エリートシリーズ第5戦から3戦連続でトップ50カットして、AOYレースもようやく44位まで上がってきたところで、第8戦では初日のDQがたたって102位となり、AOYレースでは58位まで後退してしまいました。プロとして24年間のキャリアを誇る大ベテランのトミー・ビッフルにとって、今回のDQは生涯初だったそうです。
 エリートシリーズ第8戦が開催されたケンタッキーレイクは主催地こそケンタッキー州ですが、トーナメントウォーターはテネシー州にもまたがるレイク・バークレイまで含まれます。出場選手はケンタッキー州のフィッシングライセンスはもちろん、テネシー州側で釣りをする場合はテネシー州のフィッシングライセンスも携帯しなければなりません。たとえば、国境をまたぐレイク・アミスタッドではメキシコのライセンス、レイク・シャンプレーンや五大湖などではカナダのライセンスが必要になります。もちろん、ボーターである選手は州境や国境を越えないつもりで試合に臨めばライセンス購入の義務はありませんが、ノンボーターは誰とパートナーとなるか分からないので、必ず可能性のあるすべてのライセンスを購入しておかなければなりません。
 その第8戦の初日、レイク・バークレーで釣りをしていたトミー・ビッフルは気づかずに州境ラインを約1/4マイル越えてテネシー州側に入ってしまいました。そこでフィッシュ&ゲームのオフィシャルにテネシー州のフィッシングライセンスの提示を求められ、テネシー州側のライセンスの不所持が発覚してしまったのでした。トミー・ビッフルはその場(約12時半)でB.A.S.S.のオフィシャルに告げ、即DQとなってしまいました。ただし、トミー・ビッフルと同船をしていたコアングラーはテネシー州のライセンスも携帯していたのでDQとはならず、トミー・ビッフルはコアングラーのために残り時間も釣りを続けたそうです。ちなみにトミー・ビッフルがこの日持っていたウェイトは約18ポンドあったそうです。2日目は17ポンド13オンスをキャッチしており、初日のDQがなければ文句なくトップ50カットは成功し、トップ12カットも狙える位置につけていたはずです。トミー・ビッフルにとってはなんとも惜しいDQとなりました。これにめげずに残り3戦で、再びクラシック出場を手にすることができるか注目です。

日米の流行のいいところ取り


Imgp6410  ノーマンのリトルNがボーン素材で問屋さんの特注オリジナルで発売されました。しかもカラーは今アメリカで飛ぶ鳥を落とす勢いのセクシーシャッドカラーです。まさに日米の今年の流行のコラボですね。リトルNを選んだというのもセンスの良さを感じさせます。来月の八郎潟遠征で試すのが楽しみです。
Imgp6408  ボーン素材が”よく釣れる”というのは誤解を生みかねませんが、クリアABS素材に比べて比重が小さい素材の分、全体の浮力が増してアクションにも切れが増しそうです。ラトル音もより大きく反響して、最近のノンラトルブームのシャロークランクに一石を投じています(ちょっと大げさ?)。ノーマルのリトルNに比べてレンジがどれくらい浅くなるかも気になるところです。
 ノーマンルアーって、ロングリップのディープダイビング系ばかりが定番ですが、ショートリップのリトルNも名作の一つです。ショートリップなので、リップがクリアでなくても見た目のボリュームはそう変わらないので、使う気がします。個人的にはロングリップはクリアな方が気分的に好きなもので・・・。今度はバンディット100か、モデルAの2A、ジョインテッドロングAあたりでボーン素材の特注を期待したいですね。

もう一つのDQネタ その2


 5月24日に「もう一つのDQネタ その1」を紹介しました。実は”その1”としたのは、続きを書くためだったのですが、すっかり遅くなってしまいました。実はFLWツアー第4戦のビーバーレイク戦でも話題となるDQネタがあったのです。
 FLWビーバーレイク戦は2日目が終了した時点では、ジョージ・コクランは11位で、トップ10カットできていませんでした。実際、FLWのサイトでも当初、そう発表されていました。ところが、その後7位で予選を通過したはずのジョエル・リチャードソンは2日目のウェイトがDQとなって102位まで後退し、ジョージ・コクランは繰り上げで決勝ラウンドに進んだのでした。
Joelrichardson  ジョエル・リチャードソンにとっては不運なDQでした。初日3番目のウェイトを持ち込んだジョエルは、2日目も前日釣ったポイントにまっすぐ入ろうとしましたが、そこにはすでに先行者がいました。FLWのルールでは先行者がいた場合、先行者の50ヤード以内に近づいて釣りをしてはいけないことになっています(厳密には守られていないことが多いですが・・・)。そこで先行者が移動するのを待つために、近くのコーブに入って釣りを始めたのでしたが、そこはなんとノーボートエリア(立ち入り禁止)だったのでした。ノーボートエリアを知らせるブイは浮かんでいたのですが、このときは大増水でブイが移動して見えにくい位置にあったのも不運でした。
 ジョエル・リチャードソンはこのエリア内ではバスをキャッチすることはありませんでしたが、他の選手に指摘され、その場でオフィシャルに電話をして、事情を説明しました。この時点ではDQの判断をされなかったジョエルは、そのまま釣りを続行し、ウェイインもしたのですが、後になってオフィシャル側からDQを告げられたのでした。
 FLWはB.A.S.S.に比べると寛大な団体と知られています。ジョエル・リチャードソンがオフィシャルに電話した際も、ノーボートエリアでバスをキャッチしたかどうかを尋ね、その後釣りを続行させたように、今までのFLWだったなら、ジョエルはDQとならなかったのかもしれません。ところが、前回のグレッグ・プーの事件以来、FLWには否定的な意見が多く寄せられ、FLWはけじめをつけるためにもジョエルをDQとするしかなかったのかもしれません。それもまた、ジョエルにとっては不運だったといえるでしょう。1998年から毎年FLWツアーに参戦しているジョエルにとっては1999年のオキチョビー戦優勝以来のトップ10カットのはずだったのですが・・・。

サフィックスをラパラが買収


Sufix  6月11日、ラパラはサフィックス・ブランドを買収、傘下に収めたと発表しました。サフィックスは日本では馴染みがないですが、アメリカを中心に世界中に販売するライン専門のメーカーです。メインはナイロン(モノフィラメント)ですが、ブレイドラインやリーダー用のフロロカーボンラインも販売しています。
 サフィックスはヤオイ・ファブリックといって、台湾と中国に製造工場を持つ台湾の会社ですが、今後ヤオイ・ファブリック製のラインはラパラブランドのみが販売する権利を持ち、ヤオイ・ファブリックの他のOEMはすべて打ち切られることになるようです。
 これでラパラグループは本格的に世界中のフィッシングラインビジネスに参入することになりそうです。 

ストレーン・デルタ戦 3日目レポート


 2日目、20ポンドオーバーも十分可能だったのに、バラシを連発して16ポンドどまりとなってしまいましたが、3日間トップ10カットラインは1日15ポンド平均で45ポンドぐらいだろうと予想していたボクは、3日目しだいでは十分決勝進出のチャンスもありました。目標は16ポンドです。
Zack  3日目のボクのパートナーは、なんと友人のザック・トンプソン。かつてはバスマスターツアーにも参戦していましたが、エリートシリーズを断念してウェスタンに戻ってきました。過去にプラを一緒にしたりと、以前からよく知っていますが、パートナーとなるのは初めてです。デルタがロコのザックは、2日目終了時点でなんと2位。優勝も狙える位置につけています。
 ザックは丸1日フランク・トランクト内の3カ所をローテーションして回る戦略で、特に1カ所、チュール(アシ)の島と島の間のタイドのカレントが効くピンポイントでほとんどのビッグフィッシュを釣っているということでした。水深が60cm程度のアシ島の先端に何度も何度もしつこいぐらいルアーを入れて、ほかの方向・ポイントには目もくれません。テキサスリグはブラッシュホッグとパワーワーム、クランクベイトはブリッツ、メソッドクランク、ファットCB・BDS1、CB100などをローテーションさせながら、必ずバスが回遊で回ってくると信じて投げ続けました。
 この日のザックは何かが違うのか、バラシを連発させて完全にリズムを崩しているような感じでした。前日までは風が吹いていましたが、この日は無風の快晴、しかもすでに2日間、叩いているポイントだけにバスのバイトが浅かったのかもしれません。ここで大事件が発生してしまいます。ボクはいつもの癖で最初の1匹を釣った段階で、ライブウェルにレジュメネイド(バスメディックス)を入れました。ほどなく、ボクはリミットメイクに成功、ザックも4本目のキーパーをキャッチし、ライブウェルに入れようとしたとき、ボクたち二人は目を疑いました。8匹のバスすべてが腹を見せて浮いているのです。今にも全部死にそうな感じです。まだ朝の9時にもなっていませんが、もし、ボクの5匹すべてが死んでしまえば、ペナルティーを1匹あたり1/2ポンドもらうだけでなく、入れ替えをすることすら許されません。つまり、朝の9時にして、釣りをストップしなければならないのです。ザックにとっても状況は同じで、一気に優勝戦線から脱落してしまいます。
 実はこれには訳がありました。ザックのライブウェル(ザック側)にはオキシゲネイターが取り付けられていたのでした。もちろん、ボクは知りませんでした。実際にオキシゲネイターを使っているアングラーに会ったのもザックが初めてでした。そして、この水を電気分解するオキシゲネイターは、レジュベネイドなどのイオン成分を入れると、なんらかの化学反応を起こし、バスを殺してしまうのでした。確かにオキシゲネイターは海水では使えないとは書かれていますが、レジュベネイドが使えないとは聞いたことがありませんでした。
 とにかく、まだかろうじて生きているバスをすべてライブウェルから取り出し、ランディングネットに入れて、新鮮な水に漬けました。その後、ライブウェルの水を強制排除してから、新しい水を入れてから再度ライブウェルに移し直しました。この時点で、ザックのバス1匹は完全デッド。ボクの5匹は元気を取り戻しかけてはいましたが、小さい2匹はリリースすることにしました(泳いで帰っていくならOK)。まだ時間はたっぷりあるので、2匹釣る以上釣ることは十分可能だと思ったからです。しかし、この一件ですっかりリズムが狂ってしまいました。
 ザックは怒ってしまうし、ボクは申し訳ない気持ちでいっぱいでした。知らなかったとはいえ、ザックの2ポンドのキーパーをデッドにしてしまい、事実上1.5ポンドのバスを入れ替えできないことになってしまいました。優勝を狙うザックにとっては大きな大きなハンデです。ボクはライブウェルを5分おきにチェックして、ザックのバスが大丈夫かチェックしました。
Imgp5196  そんなこんなで、ボクはリミットメイクはできたものの、ウェイトアップできず、11ポンド5オンスという結果でトップ10カットできず、23位という結果で試合を終えることとなりました。一方のザックも13ポンド9オンスとスコアを伸ばせませんでしたが、前日までのリードでなんとか6位で決勝に残り、最終6位でフィニッシュしました。試合後、ザックとは仲直りでき、今はメールでやりとりしていますが、もう少しで友人を一人失うところでした。これからはパートナーがオキゲネイターを付けているかどうか必ず確認したいと思います。試合は残念な結果でしたが、いい教訓もでき、いい勉強もでき、楽しいデルタの試合でした。