日別アーカイブ: 2009年2月20日

幻のワールドレコード その7


Leaha  いきなりですが、左の写真で女性が持つバスは何ポンドに見えますか? 両手でめいいっぱい前に伸ばして撮られたバスの写真は、確かにいいサイズでしょうが、この女性がとんでもない大女でない限り、ボク的には全米を賑わすほどの記録的なサイズには見えません。

 2003年12月、IGFAとThe Fishing Hall of Fameは「ついにワールドレコードを更新するバスがキャッチされ、現在記録を認定するかペンディング中だ」という報告をし、1枚の写真を公開したのでした。このビッグニュースは当時大きな話題となり、ボクもロッド&リール誌でレポートをしたので、覚えている人がいるかもしれません。
 2003年8月24日、カリフォルニア州スプリング・レイクでまたしても事件が起きました。ポール・デュカロスが幻の世界記録をキャッチしてから6年後のことです。この日、リーハ・トリュー(当時45歳)は息子のジャバッド・トリュー(当時21歳)とともに、スプリングレイクにやってきて、13フィートのゴムボートで釣りを始めました。リーハは7インチサイズのワイルドアイスイムシャッドをキャストし、水深15フィートのウィードラインを狙っていたそうです。突然、大きなアタリがあり、2人を乗せたゴムボートはアンカーごと引っ張られたそうです。
 約10分の格闘の末、リーハはとんでもない大物をキャッチしたのでした。2人はライブウェルを持っていなかったので、ゴムボートの中に水を汲み入れて、慌てて岸にに向かってオールを漕ぎました。岸に着いた2人はバスをボガグリップを使ってウェイトを量りました。ウェイトは22.5~23ポンドを指したそうです。全長は29インチ、胴回りは25インチあったそうです。現場でそれを確認したのは、トリュー親子以外に偶然近くでピクニックをしていたチャールズ・フレミングの計3人でした。
 その後、2人はバスの写真を撮ろうとしますが、持っていたのは使い捨てカメラで、残されたフィルムはあと1枚のみでした。2人はこの問題の写真を撮って、ワールドレコードクラスのこのバスをリリースしてしまいました。ここまでなら、よくある話ですし、すぐには大きなニュースにもなりませんでした。しかし、リーハはIGFAに正式に22ポンド8オンスのワールドレコードのバスとして、記録申請を行ったのでした。申請には第三者の承認もあり、公式スケールと認められているボガグリップもまた誤差がないか提出がされました。申請的には決定的な不備はなく、このバスがもし他の魚種で他の記録なら、IGFAは問題なく記録を認定していたことでしょう。ちなみに息子のジャバッドは6ポンドラインクラスのバスの記録と2ポンドラインクラスのブルーキャットフィッシュの記録も保持しているそうです。※このあたりの記録申請のルールはボクは詳しくありません。
 ところが、それが70年以上破られていない大記録となると話は別です。20ポンド以上のバス自体、21世紀に入ってからはレイク・ディクソンのドッティー以外キャッチされたこともありません。写真のバスはどう見ても全長が29インチ(73.66cm)もあるようには見えません。当然、疑惑の目が2人に集中することとなりました。お金目当ての詐欺行為ではないかという声までありました。一方で「バスを記録認定するためには、殺すのもやむを得ないのか」、「キャッチ&リリースを推奨するIGFAの判断は?」という意見もまた寄せられました。まさに1997年の事件の再来です。結局、最終的には証拠不足ということで、オールタックルのワールドレコードには認定されませんでしたが、妥協案として12ポンドラインクラスの記録として認定するという後味の悪い決着となりました。現在の12ポンドラインクラスの記録は本当に22ポンド8オンスなのかは、確認できずじまいですが、ボク自身、ワールドレコードに認定されず内心ホッとしたのを覚えています。