日別アーカイブ: 2009年2月13日

幻のワールドレコード その1


 昨日、ワールドレコードを真剣に狙う呉行修さんの話を紹介しました。ところで、ワールドレコードについて、最近のバスアングラーはどれくらい知っているでしょうか? 
Perry  バスフィッシング歴が長いボクにとっては、それがジョージ・ペリーによってキャッチされた22.25ポンドであることは常識なんですが、最近の釣り雑誌って、そういう夢のあるテーマってほとんど話題になりません。数ヶ月先にリリースされる新製品を宣伝する薄っぺらい内容の提灯記事ばかりです。新製品がリリースされたら、内容自体が古くなってポイです。昔は保存版にしたいような内容の雑誌も多かったのですが・・・。
 1932年6月2日に農家の息子、当時20歳(19歳という説も)のジョージ・ペリーは近所のジョージア州モンゴメリーレイクに釣り仲間のジャック・ペイジと出かけました。2人は自家製のボートで釣りを開始し、ジョージ・ペリーは唯一持っていたクリークチャブのウィグルフィッシュをキャストし、世界で最も有名な魚をキャッチすることになります。
Perry7  当時を振り返ってジョージ・ペリーはこんなコメントをしています。「ファイト中、そのバスがどれくらい大きいか想像もつかなかったが、そんなことよりもルアーを無くしてしまわないかの方が心配だった」と。当時のジョージ・ペリーにとって、バスフィッシングは趣味ではなく、漁だったのです。
 2人は、釣り上げた大物を家に持ち帰る途中、JJホールが経営する食料雑貨店に立ち寄り、ホール立ち会いの下、長さを測定しました。全長32.5インチ、胴回りは28.5インチだったそうです。続いて近くの郵便局に立ち寄り、郵便局の計りで重量を測定しました。その重量が22ポンド4オンスだったそうです。そして最後にその魚はペリー家の夕食としてフライになったそうです。
 その後、当時、フィールド&ストリーム誌が行っていたビッグフィッシュ・コンテストにジョージ・ペリーは第三者承認の記録として応募し、優勝賞品75ドル分を手にしたそうです。なぜか魚の写真は1枚も残っていなかったのですが、フィールド&ストリーム誌の公式な記録として残ったために、77年近く経った今でも破ることができない幻のワールドレコードとして認定されることとなったのでした。今のIGFAのルールなら公式な記録としては認められなかったことでしょう。
Perry4  ジョージ・ペリー自身の有名な写真(上)は残っているのですが、彼が持つバスはワールドレコードのバスではなく、別のバスです。その後、ジョージ・ペリーは1974年、自らが操縦する飛行機の事故で、その生涯を閉じることとなります。ちなみに、モンゴメリーレイクは今は無く、ただそこに記念碑が立っているだけです。