トーナメントのペイバック率とは その2


 アメリカのトーナメンターにとって、トップカテゴリーのB.A.S.S.エリートシリーズやFLWツアーに参戦するのは、憧れであり名誉でもあります。ただし、名誉のためだけに大金をつぎ込んでも長続きはしません。選手にとってはトーナメントは賞金を勝ち取り、スポンサーを獲得するための仕事でもあるのです。
 トップトーナメンターにとって、エリートに出場するかFLWツアーに出場するかは大きな決断です。スポンサーの絡みも当然ありますが、そういうしがらみがなければ、ペイバック率は大事な決断の要素となります。つまり、どっちが”おいしい”かです。
 今年のエリートシリーズの場合、何度も変更がありましたが、結局当初のペイアウトに近い形で決着がつきました(ただしAOYランキングのボーナスは減額)。エントリーフィーは1試合5200ドルで101人が出場しますから、エントリフィーの総額は52万5200ドルとなります。一方の賞金総額は計算すると63万8000ドルとなりました。つまり、ペイバック率は121.5%となります。1万ドルの賞金圏は50位なので、2人に1人はエントリーフィーの倍額が返ってくる確率となります。そして、1位から10位までの賞金総額は23万6500ドルと、全体の10%の選手が約37%の賞金を獲得することとなります。※シーズン終了後にAOYポイントランキングに応じてボーナスが支払われます。
 今年のFLWツアーの場合、レギュラートーナメントとスポンサーの冠のついたオープントーナメントがありますが、レギュラートーナメントの場合、エントリーフィーは4000ドルで150人が出場するのでエントリーフィーの総額は60万ドルとなります。一方の賞金総額は計算すると79万ドルとなりました。つまり、ペイバック率は131.75%となり、エリートシリーズよりも高いペイバック率であることが分かります。1万ドルの賞金圏はやはり50位なので、3人に1人はエントリーフィーの2.5倍が返ってくる確率となります。そして1位から10位までの賞金総額は35万ドルなので、全体の6.7%の選手が約44%の賞金を獲得することとなります。つまり、FLWツアーの方がハイリスク・ハイリターンの試合であることも分かります。※賞金額はレンジャーボートオーナーが優勝することを想定した計算です。
 もし、どちらからに出場できるとしたら、どっちに魅力を感じますか? トーナメントってギャンブルですよね。いずれにしても、ペイバック率が100%を超えているのは、多くのスポンサーのおかげです。それでも、全戦出場して、エントリーフィー分だけでも回収できる選手は半分もいないのが現実ですが・・・。

トーナメントのペイバック率とは その2」への4件のフィードバック

  1. GRANBASS

    Living in Alabama 様 
     そうですよ。せっかくなので、書いてみました。いざ書くと、どうしても日本のトーナメントと比較になってしまうので、いらぬ敵をまた作ってしまいた。
     トップの選手に限らず、トーナメンターなんて、基本はお金持ちが多いものですよ。特に自由に時間を作れる人でないと、そうそう1週間単位で仕事なんて休めません。
     アラバマに限らず、チームトーナメントというのは、不正がどうしても起こりやすい(防ぎにくい)ので、高額なトーナメントは行われませんよね。日本の1人乗船トーナメントなんかも同じですね。
     中には不正もあるでしょうが、トーナメントに出る出ないは本人が納得すればいいわけですよね。もし、本当に主催者がグルになっているようなトーナメントがあるなら、いずれなくなってしまうでしょうね。

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  2. Living in Alabama

    私のコメントからこの記事をピックアップして頂いたのでしょうか?そうであれば大変有り難い限りですし、そうでなくても別に良いのですが・・・。私はFLWには全く興味がなくBASSしか見ていないのですが、何人かのEliteプロが、牧場経営とか、ボートディーラーとか、フィッシングリゾート経営とか、看板屋さんとか、ガスタンクのリース屋さんとか、何らかの自営業を営んでいたりしますよね。
    またコメントが本題から脱線して前田さんに怒られるのを覚悟でコメントしますが、私の住むアラバマ州ではほぼ1年中、ローカルトーナメントが開催されています。その中の多くでは、「トーナメント参戦者とトーナメントに出場しないベテランがグルになってインチキを働いて、賞金を山分けしている」とか、「トーナメント優勝者は、トーナメント開催者の回し者で、開催者がエントリーフィーを食い物にしている」という噂も漂うほどです。トーナメントの前に開催者によるランダムなペアリングなどがなく、誰とでもチームを組んで参戦できるので、当たり前と言えば当たり前なのでしょうけども・・・。私はと言えば、昨年末に2009 Bassmaster Open Souther Seriesにプロとしてフル出場のエントリーをしたものの定員超えで、結局参戦できなかったので、来季は地道にCoになってTop 50に残って2011年にプロの優先参戦権獲得しないといけないのかなあ・・・などと考えております。結局今年はBASS Federation Alabama参戦です。
    何故かいつも、トーナメントの裏事情的な記事を期待し、そういう記事しか読まないので、いつも申し訳ない限りです。
    以上、失礼致しました。

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  3. GRANBASS

    稼ぐチャンスはありますが、ほんの一握りの選手です。単純に試合の収支だけで食える人はほとんどいませんね。やはりスポンサーが大事です。

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  4. スキートコリース

    本場だと稼げると思っていた自分は無知でした・・・
    本場でも大変なんですね。
    最近、マスターズとテレビで流れるとドキッとしますが石川君ですもんねぇ。

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