月別アーカイブ: 2007年4月

奇跡の名作?ウィグルワート 番外その1


 旧モデルが手に入らなくなったことで、オリジナルにできるだけ近いものを作ろうとしてできたルアーってけっこうあります。簡単に言えばパクリなんでしょうが、「手に入らないから作るしかない」という意味では、それほど悪意は感じられません。少なくともオリジナルへのリスペクトは感じたりします。
Imgp2780  日本ではポップマンが輸入販売していたBrad’sブランドのウィグラーシリーズは「旧モデルのウィグルワートと同じ型を使った復刻モデル」というデタラメなうたい文句でした。よくまあ、そんなウソを平気で言えたものです。中国製のBrad’sが旧ウィグルワートと同じ型のはずがないです。一目見たらモールドが同じなんて騙されませんが・・・。
 ウィグラーシリーズには4サイズがあってBrad’sウィグラーというのがウィグルワートサイズです。ピーウィーワートサイズのリルウィグラー、ウィーワートサイズのウィー・ウィグラー、マグワートサイズのマグナム・ウィグラーまであるので、徹底しています。カラーまでウィグルワートにそっくりです。Brad’sウィグラーはラインアイ部のリップに丸いくぼみがあった時代のウィグルワートを手本に作られています。ただし、くぼみの大きさはウィグルワートの方が大きいです。リップはウィグルワートに比べれば少し厚みがあり、エッジもシャープではありません。リップの形や大きさも微妙に違います。
Imgp2785  Brad’sウィグラーにはボーン素材とクリア素材がありますが、それ以外になぜかラトル音が違うタイプがあります。ラトルがしっかり鳴るタイプと、ラトルボールの遊びが小さいのか音があまり鳴らないタイプがあり、けっこういい加減です。内部構造が透けて見えるカラーが存在しないので、正確にはどうなっているのか分かりません。
 そして肝心のアクションですが、文章ではうまく説明しにくいですが、やはりウィグルワートにはかないません。ボクもBrad’sを見たときは「もしかしたら当たりかも」と複数個買いましたが、何かが違うのか、イレギュラーなふらつきも、アクションのキレもウィグルワートにはかなわず、淡い期待は裏切られました。ただ、ウィーワートサイズのウィー・ウィグラーはウィーワートの入手が非常に困難だけに代用としてはボクも愛用しています。
 このBrad’sですが、ウィグルワート以外にホッテントットやサンダースティック、スウィンフィンまでそっくりなルアーを作っています。どういう意図で作っているのかなど詳しくは知りませんが、かなりのストームマニアであることは間違いなさそうです。
http://www.bsfishtales.com/

水面バチャバチャ


Imgp2790  先日、ズームの新製品スーパースピードクローを紹介しましたが、さっそく面白い使い方を思いつきました。そのド派手なバタバタアクションを利用して、ホニートードをはるかに凌ぐバジングフロッグを作ってみました。作り方は簡単で、ブンブンチューブのボディーに足をカットしたスーパースピードクローを挿入してセットするだけです。ブンブンチューブは肉厚の塩入りボディーなので、単体よりも飛距離が伸び、スイム姿勢も安定します。チューブ内部の中空部(隙間)を大きくしたり小さくしたりして浮力を調整できますし、中空部にラトラーを挿入して使うのも面白そうです。ホニートードは飛距離が出ませんし、ボクにはアピール度がもの足りません。特に湖面が穏やかでないとアクションも安定しませんが、この”スーパースピードチューブトード”は少々の波ならビクともしませんでした。ワームのカラーをいろいろ組み合わせるのも面白いです。

奇跡の名作?ウィグルワート その5


Imgp2723  日本では旧モデルのウィグルワートといえば、ボーン素材が人気です。他のメーカーのルアーと同様、リップまでメッキまたはカラーが付いたモデルはボーン素材が使われていますが、同じカラー名でも時代によってクリア素材だったり、ボーン素材だったりとけっこう複雑です。ボーン素材は比重が小さいために同じ時代のモデルでもクリア素材のタイプよりも浮力が大きく、アクションはよりワイドになる傾向があります。また、同じタイプのモデルでもボーン素材は高いラトル音を発し、クリア素材は低いラトル音を発します。つまり、よりアピール度が高いのがボーン素材のウィグルワートの特徴です。また、ボーン素材は潜行深度が少し浅いような気がします。
Imgp2714  ボクもボーン素材信者の1人ですが、ウィグルワートに関しては、正直クリアボディーの方が好きです。というのも、不透明の大きなリップが左右に大きくウォブルする姿はどうしても違和感を感じてしまいます。バスにとってもクリアリップタイプとボーンタイプでは、明らかにシルエットが違うと思うのです。バスにとっては巨大な刃物をブンブン振り回す暴れん坊といった感じです。特にクリアウォーターで使うと特にそう思ってしまいます。バスにとってはクリアなリップでも実際は見えているのかもしれませんが・・・。

奇跡の名作?ウィグルワート その4


Clark_1  ワイドウォブルのウィグルワートはマッディーウォーターで効きそうなイメージですし、実際によく釣れますが、意外にも春(早春)のクリアウォーターでよく効きます。すでに紹介したテーブルロックレイクでの実績もそうですが、やはりクリアウォーターで毎年FLWツアーが行われるビーバーレイクでも定番中の定番ルアーで、過去のビーバーレイク戦で4度のトップ10カット(2度の優勝を含む)を果たしたクラーク・ウェンドラントは旧モデルのウィグルワートを溺愛しています。クラークは今季の初戦、レイク・トラヴィスで初日にトップウェイトをたたき出し、4位でフィニッシュした際もウィグルワートを使用したとコメントしています。
Imgp2717  潜行時のリップの角度が浅く、大きなリップの割に障害物を回避するのが得意とは言えないルアーですが、スタンプや立ち木が豊富なクリアウォーターで実績が高いのは興味深いです。スローでもよく動くことで、早春(低水温時)の活性の低いバスでもバイトしやすいとか、イレギュラーなダートがオートマチックの平打ち効果があるとか、いろいろな説がありますが、実際のところはバスに聞いてみないと、よく分かりません。とにかくよく釣れるマネーベイトであることは間違いありません。

マネーゲームで釣り業界はどうなる?!


Header  先日、ジャーデンがピュア・フィッシングを買収したニュースをお伝えしましたが、今度はジャーデンは25日にK2を買収したと発表しました。K2といえば、数多くのスポーツ&アウトドアブランドを傘下に置く巨大企業ですが、その企業が丸々ジャーデンに呑み込まれた形です。K2の傘下にはシェイクスピアグループがあります。シェイクスピアといえば、最近ペンリールやオールスターロッドなどを買収したばかりです。これで、K2傘下のシェイクスピア、ペンリール、フルーガー、Xツールズ、ケイジュンライン、オールスターロッド、スターンズ、SOSPENDERがジャーデン傘下となり、ピュアフィッシンググループの各ブランドとは兄弟ブランドとなってしまいます。アブ、ミッチェル、ペン、フルーガーの親会社がすべて同じって、すごく不思議な感じがしませんか? 釣り業界はますます吸収合併が進みますが、この先どうなっていくんでしょうか? 
http://www.jardencorp.com/phoenix.zhtml?c=72395&p=irol-newsArticle&ID=989982&highlight=
http://www.k2inc.net/default.asp

奇跡の名作?ウィグルワート その3


Davis_mark_0403_tablerock_day4_370_bass  ウィグルワートはプロたちの間で密かに使われ続けていましたが、ウィグルワートが再び脚光を浴び、ストーム(ラパラ)が”オリジナル”モデルを復刻させるきっかけとなったのは2004年3月4-7日にミズーリー州テーブルロックレイクで開催されたバスマスターツアーでした。この試合はマーク・デイビスが優勝したのですが、マークが使用したのが20年以上前のウィグルワートだったのです。この試合、3位にフィニッシュしたジェラルド・スウィンドルもウィグルワートをキャストしていたという噂です。
2005aoy  その後、翌年の2005年3月31日-4月3日に同湖で開催されたバスマスターツアー第6戦(最終戦)で一気にウィグルワートはブレイクします。最終戦を迎え、AOY争いをしていたマーティー・ストーンとアーロン・マーテンスはマーティが13位と惜しくもトップ12カットを逃し、アーロンが4位以上の成績でフィニッシュすれば、アーロンがAOYを獲ると注目されました。そして、アーロンは見事2位でフィニッシュし、念願のB.A.S.S.のAOYを獲得しました。

Imgp2718  このときの模様はテレビでも放映されたのですが、アーロンがウィグルワートを使用しているのがバッチリ映っていました。アーロンは15年以上前の旧モデルのウィグルワート(クリアリップのファントム・ブラウンクロー)だと明かしました。この試合で優勝したグレッグ・ハックニーも名前こそ明かしませんでしたが、ワイドウォブルのクロー系カラーのクランクとコメントしており、ウィグルワートを使用していたと思われます。3位のブレント・チャップマンもウィグルワートを使用していたという噂です。4位のKVDは公式にウィグルワート(クロー系)を使用したとコメントしており、7位でフィニッシュしたアンドレもまた旧モデルのウィグルワート(クリアリップのファントム・ブラウンクロー)を使用していました。実に噂も含めてトップ7人中5人がウィグルワートをキャストしていたわけです。これを機会にオークションでの旧モデルのウィグルワートの相場が一気に跳ね上がったのは言うまでもありません。

バスへのケアを怠りません


Rejuvenade  4月19日、FLWはアウトドア・スペシャルティー・プロダクツ社との合意に達し、バスメディックス・ブランドの”Rejuvenade”がFLW系のすべてのトーナメントの公式ライブウェルトリートメントになったと発表しました。Rejuvenadeは今最も人気、実績のあるライブウェルトリートメントです。
Bmr  FLWに限らずアメリカのトーナメントはバスを元気にリリースするために、いろいろな努力がボランティを含むスタッフによって行われています。もちろん、選手側もライブウェルトリートメントを使ったり、氷でライブウェル内の水温を下げたりと、バスに対してのケアを怠りません。日本のトーナメントのように、「検量さえ終われば、後は勝手にリリースして」と、トーナメント後には死んだバスがウェイン会場近くにプカプカ浮いているというようなような状態はありえません。最近のFLWはウェインも水槽式の検量方法を採用して、バスのダメージを少しでも少なくしようとしています。こういう努力があってこそ、アメリカの湖はコンディションが長年維持されているんです。
http://www.flwoutdoors.com/article.cfm?id=145734
http://www.bassmedics.com/rejuvenade.html

奇跡の名作?ウィグルワート その2


 ウィグルワートは他のクランクベイトとはまったく異質の個性派クランクです。”スーパーワイドウォブリング”、 ”千鳥足アクション”、”イレギュラーアクション”、”アクロバティックアクション”などなど様々な呼ばれ方がされています。ロールをほとんどせず、リップをこれでもかと左右に大きくウォブルしながら、さらにバランスを崩しながらも決してひっくり返ることなく、イレギュラーに蛇行を繰り返すアクションは絶妙です。それでいて、引き抵抗も重すぎず、心地よい振動がロッドに伝わってきます。狙って作ったというよりも偶然できた奇跡の名作だと思います。もし、これを意図してデザインしたとすれば、ビル・ストームは間違いなく天才です。このウィグルワートはアメリカではバス用というだけでなく、サーモンやトラウトにも効くんだそうです。実際、ウィグルワートのカラーにはバス用とは思えない奇抜なカラーがいくつも存在します。
 そして、よくある話ですが、やはりウィグルワートもまた、現行モデルは旧モデルに比べて、何かが違います。せっかく復刻の声に応えて、”オリジナル”ウィグルワートがリリースされたのですが、プロたちは相変わらず旧モデルを使い続け、オークションで購入するのを止めていません。
Imgp2704  中国で新たに作られた現行モデルはクリア系とボーン系があります。ラトル兼ウェイトがステンレス球?となっていて、ラトルルーム内のアソビも大きく、旧モデルのどのタイプよりも最もカン高いラトル音を発します。リップのエッジは旧モデルほどのシャープさが無く、ボディー全体の肉厚も分厚くなっていて、重心が分散している感じがします。正直、アクションのキレやイレギュラーなダートは旧モデルほどではありません。もちろん、エストニア産の駄作に比べれば、”オリジナル”と呼んでもいいぐらいウィグルワートらしさはあるのですが・・・。その微妙な違いが釣果に影響するからバスフィッシングって面白いです。どうして、ルアーって旧モデルを超えるのが難しいのでしょうか?

シェイキー、シェイキー!


Imgp2726  FLWマガジンの最新号が今日、届きました。表紙はチームBPのトーナメントシャツを着たフカシンです。すっかりFLWの顔になっています。今号の特集はズバリ、シェイキーヘッドです。FLWマガジンではすでに何度もシェイキーヘッドが特集されていますが、今号もかなりのページを割いています。
Imgp2730  エリート戦よりもFLWツアー戦は出場者数が多く(約2倍)、しかもプラクティス日数に制限がないので、どうしてもプレッシャーが掛かりやすく、フィネスな戦略が必要となりやすいです。シャイキーヘッドは過去に何度もウィニングパターンとなっていて、FLWツアーにおいてはなくてはならないテクニックとなっています。

奇跡の名作?ウィグルワート その1


Imgp2701  最近、ウィグルワートが密かに脚光を浴びています。数年前、ストームがラパラに買収されて、旧モデルが廃盤となり、後付けリップのエストニア製のウィグルワートが発売されましたが、正直、このモデルはウィグルワートと呼ぶにはビル・ストームに失礼なほど別物というか、ウィグルワートの特徴を殺した名ばかりの駄作でした。
Imgp2697  その後、復刻の声が大きくなり、ストーム(ラパラ)は最近中国製の”オリジナル”ウィグルワートという名で外観は旧モデルに近いモデルをリリースしました。最新の”オリジナル”モデルはリップの裏にWIGGLE WARTではなく、STORMと表記されているので一目瞭然です。この現行モデルはエストニア製に比べれば随分マシになりましたが、他のルアーと同様、やはり旧モデルとは何かが違い、トッププロからは人気がそれほどありません。
 旧モデルのウィグルワートと言っても、過去に何度もマイナーチェンジを繰り返しています。ボクはマニアではありませんので、何回変わったのか分かりませんが、ストームがラパラに買収される前の最後の旧モデル(メキシコ製、ラインアイにスナップ付き)以前にボクが持っているだけで4種類あります。また、同じモデルでもカラーによって、クリアボディとボーンボディがあったり、ラトル兼ウェイトが鉛だったり、スチールだったりと、アクションやラトル音も異なります。そんな奥深いウィグルワートですが、面白いことにプロによって好みが違います。そして、有名プロたちは好みのウィグルワートをオークションで密かに手に入れています。日本では単にボーン素材のウィグルワートを”お宝”的に紹介する傾向がありますが、アメリカでは必ずしもそうではありません。