想像してみてください


 トーナメントではデッドフィッシュペナルティーがありますが、これは「ウェイインするまでバスの息があるかどうか」が重要なのではなく、「ウェイイン後、元気にリリースする」のが真の目的です。ところが日本ではウェイインさえ完了すれば、後はバスが死のうが生き延びようが知ったこっちゃない、というのが実態です。アメリカの多くのトーナメントでは、リリースボートが用意され、ウェイイン後のバスはオフィシャルが水質のいいエリアまでバスを運んでリリースをします。水温が高くて水質も悪いマリーナの奥にポイ捨てするのはリリースとは言えません。
 以前にも触れたことがありますが、ある調査によると、バスのトーナメント後のリリースによる生還の確率は、水温が18度以下の季節では94%ありますが、水温が26度を超える時期では、61%しか生還できないというのです。水温が高くなればなるほど、この数字は低くなるそうです。
 これはライブウェルがしっかり装備されたバスボートが中心で、リリースボートが用意され、数多くのボランティアやスタッフがテキパキと大会を運営するアメリカでの話ですから、日本ではそれ以下の数字となるでしょう。アメリカでは、リリースエリアはオフリミット(釣り禁止)となって、ウェイインされたばかりの体力を回復していない弱ったバスが、すぐに再び釣られるのを防ぐ工夫もされています。

 では想像してみてください。水温が30度を超える時期ならば…。「自分がリリースしたバスだけは元気に泳いでいった」と思っていても、実は3割ぐらいしか生還できていないかもしれません。多くても5割でしょう。朝イチに釣れたバスなら、かなりの確率で死んでしまっているのかもしれません。高水温の夏場はトーナメントを控えるか、競技時間を短くするべきです(カリフォルニア州では法律で6時間がMAXです)。結果として駆除大会になっているイベントにメーカーがスポンサーするのもどうかと思います。
 よく氷をいっぱい入れて水温を下げればいいと思っている人がいますが、ものには限度があります。確かに表水温は下層の水温よりも高いので、表水温を循環させるだけだと夏場はバスがすぐに弱ってしまいます。だからといって、キンキンに冷たい水ではバスもショックです。何度も急激に水温が変化するのもよくありません。さらに市販の氷をそのままライブウェルに入れるのもよくありません。氷が溶けた水は酸素が溶けていない場合があるからです。理想は間接的に冷やして長時間一定水温をキープすることです。
 先月ボクも参加したフォレストウッドカップでは、友人に教えてもらったある方法が役に立ちました。その方法とはペットボトルに湖の水をくんで持って帰り、中にレジュベネイドを入れ、冷凍庫で凍らせることです。試合中は1本ずつペットボトルのフタを外してライブウェルの中に入れました。中のレジュベネイド入りの氷は時間をかけて徐々に溶け出すというわけです。
 また、初日のパートナー、アンディー・モーガンのボートにはクールウェルが装備されていました。クールウェルは氷を利用して、ライブウェル内の水を間接的に冷やし、一定水温をキープする装置です。試合当日はとんでもなく暑く、試合途中で氷を買い足しに行ったほどです(写真)。アンディーはライブウェル内の水温計を常に気にしていました。ワールドランキング7位の一流プロは、バスに対するケアも一流でした。BRUSH動画のあのプロとは天と地の差です。

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想像してみてください」への2件のフィードバック

  1. ポテトマン

    ひさしぶりにコメントさせてもらいます。
     
    先日、レンタルボートにて久しぶりいいサイズが釣れました。あいにく、一人釣行で携帯カメラの一人撮りも味気ない。キープしてマリーナに戻ろうかと思いましたが、先日の67㎝の記事を読んでいたので後ろ髪は引かれましたがその場でリリースしました。
    しかし、あいかわらずマリーナでは意味のない自慢写真の撮影会、そんな45未満の魚をと突っ込みたくはなりますがその人の価値観だからとわりきってしまいますが・・
    前田さんの魚より10㎝可愛いですが今年一番の思い出です

    返信
  2. 川越

    今週末に大学生の全国大会ってのが能登半島であるんですがかなり不安要素たっぷりな内容っぽいです。Bオープンの二の舞にならなきゃいいんですが。

    返信

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