日別アーカイブ: 2010年2月22日

KVDって・・・


I_mrk31458  KVDの強さの秘密は? なんていうコメントをいただいたので、KVDについてちょっと書いてみたいと思います。よく、みんなが「KVDって、凄いよね」と軽く言いますが、その凄さを理解していない人が多いです。KVDはあり得ないぐらい、とんでもなく、メチャクチャ凄いです。
 エリートシリーズは毎試合5000ドルのエントリーフィーを払って、50位で1万ドル、51位以下はゼロという過酷な試合です。全米トップレベルの選手が必死でしのぎを削って戦っています。トップ選手は契約金にも恵まれていますが、中堅クラス以下の選手は、毎試合、賞金を獲れるかどうかでまさに生活が掛かっています。
 エリートシリーズは公式プラクティスがたったの3日間しかありません。しかも、ノーインフォメーションルールがあるので、選手はオフリミット期間中または公式プラクティス中に、公な情報以外を収集すると”表向き”は失格になります。
 年に1度訪れるかどうかの湖に久しぶりにやってきて、たった3日間のプラクティスで事前情報ゼロで試合に臨むわけです。前の週まで他の湖でトーナメントを戦っている場合もあり、ほとんど寝ずに運転してやってくることもあります。しかも、どの湖も広大です。当然、3日間ですべてを回ることなんて不可能で、事前にエリアや戦略を絞り込む”山張り”が必要になります。「あっちも気になる、このルアーも気になる、このカラーも気になる」なんて気持ちでプラクティスをしていてはとても戦えません。自分の信じる戦略をやりきる強いハートも必要です。公式プラクティスでマリーナから出船して、まずはボートを右に走らせるか左に走らせるか、上流に向かうか、下流に向かうか、その瞬間にトーナメント本戦の勝敗が決まってしまうこともあるでしょう。
 その一方で、天候は安定しません。気象の変化にも対応できる経験値と応用力も求められます。一般に”勝つ釣り”と”賞金を獲る釣り”は違うとも言われます。プラクティスで勝てそうな強いパターンが見つかれば、勝負に出ますが、強いパターンが見つからない場合は、賞金圏の50位内を目指すことになります。また、強いパターンは時としてギャンブル性が高く、気象等の状況変化で大きく外すリスクも伴います。
 KVDはエリート50を2連覇、その後のクラシックを制した2005年シーズン以降、絶好調を維持し続けています。エリートシリーズ開幕イヤーの2006年はクラシックを5位、レギュラーシーズンはサンティークーパー戦の失格を除けば、残り10試合すべてで賞金圏、シングル入賞6回でした。2007年はクラシック3位、レギュラーシーズンはクラークスヒル戦の55位以外の残り10試合で賞金圏、シングル入賞4回(うち優勝2回)でした。2008年はクラシック3位、レギュラーシーズンはアミスタッド戦の56位以外は残り10試合で賞金圏、シングル入賞5回(うち優勝2回)でした。2009年シーズンはクラシックは30位と振るいませんでしたが、レギュラー8試合はすべて賞金圏、シングル入賞4回(うち優勝1回)でした。

 エリートシリーズのレギュラーシーズン4年間の通算は全41試合中38試合が賞金圏、シングル入賞19回(うち優勝は5回)。失格の1試合を除けば、最も悪かった試合でも56位でした。つまり、KVDは絶対に外さない安定感と約2試合に1試合は勝てる強力なパターンがはまっていることになります。これを「やっぱりKVDって凄いぜぇ」ととるか、「そんなん、ありえへんでぇ」ととるか・・・。常識的に考えれば、ちょっとあり得ないと思いませんか? KVDって本当に神なのかもしれませんね。神と戦わないといけない他のエリート選手は、ちょっとかわいそう・・・。

大森貴洋物語


Takahiroomorimrk39103  クラシックは惜しくも10位でフィニッシュした大森貴洋さんですが、先日、ニューヨーク・タイムズのスポーツ欄で大森さんがフューチャーされた"Bass Fishing Tour Is a Life Journey for Takahiro Omori"と題した記事が掲載されました。なかなか面白い内容です。
 それにしても、地方紙ではなく、ニューヨーク・タイムズですよ。一流スポーツ選手の証しですね。