日米のプロトーナメントの違い その6


 トーナメントにライブベイトを持ち込み、使用することはもちろん、アメリカでも禁止されています。FLWのルールブックには下記のような記述があります。

 Only Artificial lures may be used, with the exception of pork trailers and Berkley Gulp! baits and Berkley Gulp! alive.
 ただ、アメリカのトーナメントでライブベイトを使用してDQになったという事例は耳にしたことがありません。実はFLWの社長兼CEOのチャーリー・エヴァンスとある件でメールをやりとりしている際に、この話題となり、アメリカの実情を聞いてみました。
 彼によると、かなり珍しいケースだということでした。「コアングラーに簡単に見つかるから」という予想通りの答えでした。では、仮に発見されたら、という質問に対しては、「その日のウェイトがゼロになる、その試合自体がDQとなる、または今後永久にDQとなる、の3オプションで状況に応じて、トーナメントディレクターが判断を下す」という回答でした。つまり、詳しい調査なしに、問答無用のトカゲの尻尾切りはあり得ないということでした。
 そもそも、アメリカのトーナメントはライブベイトを使えばいつでも簡単に勝てるようなものではありません。ライブベイトは使用範囲が限られて効率が悪いからです。あらゆるシチュエーションでも、手が出せないということがないように、長い歴史の中で数多くのルアーが生み出されてきたのです。もちろん、オープンウォーターのそこにバスがいるのが分かっていて、ルアーでは食わせることができないような場合なら、ライブベイトは有効でしょうが・・・。アメリカのトーナメントは食わせるテクニックよりも広い釣り場の中から釣るべきエリアを絞り込む力が求められます。その経験値と状況判断が何よりも重要で、そのプロセスこそがバスフィッシングの本来の面白さだとボクは考えます。ボクは長年バスフィッシングを楽しんできましたが、今なお面白くてやめられないのは、バスフィッシングは奥が深すぎて、まだまだボクが知らない世界があるからです。
 最近の試合ではFLWシリーズでギド・ヒブドンがRCクランクを使用し、エリートでトミー・ビッフルがスイートビーバーを使用し、ともに優勝しました。2人の大ベテランが活躍できるのは、まさに経験値であり、秘密のルアーのおかげではありません。誰のタックルボックスにも入っている当たり前の定番ルアーを正しい状況で使用するという”正解”を導き出したから、2人は優勝したのです。仮に2人が同じ条件下でライブベイトを使用したとしても、それ以上のウェイトを釣ることはできなかったでしょう。
 一方の日本はフィールドが狭いので仕方がないかもしれませんが、集団の中で釣り勝つ”食わせ”ばかりが重要視されています。「エサを使ったら勝って当然」とヒステリックに騒がれるよりも、「エサなんか使っても勝てない」と言われるようなバスフィッシングを日本のバスプロも目指してほしいです。

日米のプロトーナメントの違い その6」への6件のフィードバック

  1. GRANBASS

     ご指摘はごもっともですね。でも、ボクはコアングラーで参戦することで、数多くのプロのエリア選択、戦略を学ばせてもらっています。そして、連れて行かれたポイントで”食わせる”のではなく、アジャストする力を養っているつもりです。
     将来はプロの土俵で、自分の経験値がどこまで通用するのか、腕試しをしてみたい気持ちはありますが、自分はまだその域には達していないと思いますし、経済的にもその余裕がないというわけです。
     ボクがブログで書いた内容は、あくまで日米の”プロ”の違いを客観的に書いたつもりです。アマチュアであるボクが日本のプロにこうなって欲しいという願いを込めて書いたわけです。

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  2. つん

    > アメリカのトーナメントは食わせるテクニックよりも広い釣り場の中から釣るべきエリアを絞り込む力が求められます。その経験値と状況判断が何よりも重要で、そのプロセスこそがバスフィッシングの本来の面白さだとボクは考えます。
    失礼ですが、ノンボーターとしてトーナメントに参戦する事はあなたの言うエリアを絞り込む力、本来の面白さを放棄して、連れて行かれたポイントで食わせるテクニックを追及しているって事じゃないでしょうか?

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  3. TK

    私はトーナメントに出ているわけでもなく、人よりも沢山釣って周りに認められたり、有名になりたくて釣りをしているわけでもありません。釣果にこだわって釣りをするよりも、好きなスタイルの釣りを楽しむ方が好きです。だから、私が生餌でバスを釣るのが好きならば、生餌を使っていたでしょうし、ワームで釣るのが好きならばワームで釣りをしていたでしょう。
    私のような偏ったスタイルや考えを否定する人は沢山います。
    けど私はそれで楽しんでいるつもりなので、誰にケチつけられようと全然構いません。

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  4. GRANBASS

     フィネスな釣りもバスフィッシングの面白さの一つであり、ストロングな釣りもまた、バスフィッシングの面白さの一つだと思います。
     その状況で最も効率よくバスをキャッチできるルアーがフィネスな戦略なら、ボクは迷わずフィネスな戦略を選びます。日本にはハードルアーで釣った方がエライ(値打ちがある)という風潮がありますが、それこそが日本のバスフィッシングを象徴しているように思います。

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  5. TK

    日本人には、見た目が餌から程遠いハードルアーを馬鹿にする人が多いのが信じられません。
    何使っても釣れる時に使うのがハードルアーという考えの馬鹿どももたくさん私の周りにはいますが。
    私は、釣りを餌釣りから入っているので、単調な偽物の餌で一ヵ所でネチネチして一日過ごす釣りが非効率的に思えてなかなかできません。
    虫にそっくり似せたルアーよりも、バスの本能をそそるような音や、光、動きのあるルアーらしいルアーのほうが私は大好きです。

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  6. Cranky

    私は子供達と海釣りにもよく出掛けます。生餌を付けているから絶対釣れる訳でもなく丸坊主もありますし、隣りで騒いでいる中学生などがワームでメバル爆釣なんて事も日常茶飯事です。
    また、エビ類は長持ちさせるのが難しいです。今回の事件のようなジュース缶に忍ばせて長時間携帯したらほとんど死んでしまっていたのではないでしょうか?
    そして狭いフィールドでは遅い釣りが主体となってしまうから「エサを使ったら勝って当然」なんて安易に騒いでしまうのでしょうね。

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