日別アーカイブ: 2009年4月13日

日米のプロトーナメントの違い その6


 トーナメントにライブベイトを持ち込み、使用することはもちろん、アメリカでも禁止されています。FLWのルールブックには下記のような記述があります。

 Only Artificial lures may be used, with the exception of pork trailers and Berkley Gulp! baits and Berkley Gulp! alive.
 ただ、アメリカのトーナメントでライブベイトを使用してDQになったという事例は耳にしたことがありません。実はFLWの社長兼CEOのチャーリー・エヴァンスとある件でメールをやりとりしている際に、この話題となり、アメリカの実情を聞いてみました。
 彼によると、かなり珍しいケースだということでした。「コアングラーに簡単に見つかるから」という予想通りの答えでした。では、仮に発見されたら、という質問に対しては、「その日のウェイトがゼロになる、その試合自体がDQとなる、または今後永久にDQとなる、の3オプションで状況に応じて、トーナメントディレクターが判断を下す」という回答でした。つまり、詳しい調査なしに、問答無用のトカゲの尻尾切りはあり得ないということでした。
 そもそも、アメリカのトーナメントはライブベイトを使えばいつでも簡単に勝てるようなものではありません。ライブベイトは使用範囲が限られて効率が悪いからです。あらゆるシチュエーションでも、手が出せないということがないように、長い歴史の中で数多くのルアーが生み出されてきたのです。もちろん、オープンウォーターのそこにバスがいるのが分かっていて、ルアーでは食わせることができないような場合なら、ライブベイトは有効でしょうが・・・。アメリカのトーナメントは食わせるテクニックよりも広い釣り場の中から釣るべきエリアを絞り込む力が求められます。その経験値と状況判断が何よりも重要で、そのプロセスこそがバスフィッシングの本来の面白さだとボクは考えます。ボクは長年バスフィッシングを楽しんできましたが、今なお面白くてやめられないのは、バスフィッシングは奥が深すぎて、まだまだボクが知らない世界があるからです。
 最近の試合ではFLWシリーズでギド・ヒブドンがRCクランクを使用し、エリートでトミー・ビッフルがスイートビーバーを使用し、ともに優勝しました。2人の大ベテランが活躍できるのは、まさに経験値であり、秘密のルアーのおかげではありません。誰のタックルボックスにも入っている当たり前の定番ルアーを正しい状況で使用するという”正解”を導き出したから、2人は優勝したのです。仮に2人が同じ条件下でライブベイトを使用したとしても、それ以上のウェイトを釣ることはできなかったでしょう。
 一方の日本はフィールドが狭いので仕方がないかもしれませんが、集団の中で釣り勝つ”食わせ”ばかりが重要視されています。「エサを使ったら勝って当然」とヒステリックに騒がれるよりも、「エサなんか使っても勝てない」と言われるようなバスフィッシングを日本のバスプロも目指してほしいです。