日本にスポッツ? その2


 「日本にはスポッツとラージマウスのハイブリッドがいる」、「日本のラージマウスは純血の原種ではなく、わずかにスポッツの血が混じっていて、まれにスポッツの特徴が現れる」という人がいます。中学生レベルの生物学の知識があれば、異種交配が自然界で簡単に起こらないことぐらい常識です。逆を言えば、自然交配が行われないからこそ、スポッツとラージマウスは長い年月をかけて生き残り、現在それぞれ別種として分類されているわけです。ただし、異種交配は生物学的に近い種同士では極まれに自然界でも起こるそうです。また、人為的な遺伝子操作で無理矢理ハイブリッドを作り出すことも可能です。そのため、絶対にあり得ないとは言えませんが、やはり可能性は低いと思います。実際、アメリカではスポッツとラージマウスのハイブリッドなんてほとんど耳にしません。
Spots1  アメリカでは湖によってはキーパーサイズがバスの種類によって違う場合があります。例えばスポッツなら12インチ、スモールマウスやラージマウスなら15インチがキーパーサイズというレギュレーションの湖でトーナメントを行う際、スポッツとラージマウスの区別が容易にできなくては大問題です。スポッツのキーパーだと勘違いしてラージマウスのノンキーパーを持ち込めば、その魚は無効になるばかりか、ペナルティーまでもらってしまいます。キーパー1匹の違いで、賞金がもらえるかどうかの大事な試合では、DNA鑑定でもしてもらわないと引き下がれません。もし、スポッツとラージマウスの見分けがつかないハイブリッドの14インチが釣れてしまったら、キープしてもいいのでしょうか? レギュレーション自体に支障があります。要はそんなケースはほとんどないということの証明でしょう。ラージマウスとスポッツが簡単に自然交配しては、スポッツのワールドレコードを設定・認定することも難しくなります。スポッツのワールドレコードやステートレコードが釣れたら、ラージマウスが混じっていないか、いちいちDNA鑑定が必要になってしまいます。
Perrisspots  今は更新されてしまいましたが、以前のスポッツのワールドレコードは1987年にカリフォルニア州のレイクペリスでキャッチされた9ポンド4オンスでした。当時のレイクペリスは大物のスポッツが釣れる湖として有名でした。ところが、その後フロリダバスが放流され、今ではまったくスポッツが釣れなくなってしまいました。ボクも行ったことが何度かありますが、釣れるのはラージばかりでした。ペリスがホームレイクのブレント・エーラーも10年以上、ペリスでスポッツを見ていないと言っています。浅くて狭く、変化に乏しいレイクペリスでは、棲み分けが難しく、スポッツが生存競争に負けて自然淘汰されたという説ですが、ラージとスポッツがハイブリッド化したという人もいます。ボクは学者ではありませんので、断言はできませんが、自然淘汰説が有力です。
 ペリス同様、日本のような狭いフィールドでは両者がうまく棲み分けるのは難しく、両者のうちのどちらかが必ず優占種となるはずです。これはスモールマウスとラージマウスでも同じことが言えます。だから、同じ釣り場、同じエリアでランダムにラージマウスとスポッツが釣れるという報告は怪しいと思うのですが、いかがでしょうか?

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