久しぶりにスポッツネタ その5


Imgp7905  FLWマガジンの11-12月号を見ていると、なんというタイミングでしょうか? あのMandibular Pores(下顎孔)に関する記述がありました。前回は下顎孔を簡単に”感覚器官の一部”としか表記しませんでしたが、この記事には興味深い内容が書かれていましたので、ここで紹介したいと思います。
 その記事はFish Sensesと題して、バスの知覚神経系、特に"Laterralis System"に関して解説がされていました。Laterralis SystemとはMandibular Poresの解説文の中にもlateral line sensory systemとあったように、lateral line すなわち測線による神経系のことです。
 魚は測線によって音や水流を感知し、獲物の場所を見つけることができることは一般によく知られていますが、下顎孔はその一連の神経系の一部だというのです。今回のFLWマガジンの原稿にはより詳しくその仕組みが解説されているのですが、その中にこんな記述があります。
 Although the head canals are inconspicous in most fish, openings to the head canals can be seen as pits on the underside of the lower jaws of Smallmouth and Spottedbass.
Imgp7900  canalとは信号を伝達する神経管を意味します。openingとは入り口、pitは直訳すると穴やくぼみですが、ここではともに下顎孔を指しているのが分かります。興味深いのは、下顎孔が神経管によって脳まで通じている点と、下顎孔がスモールマウスとスポッツで見つかると表記し、ラージマウスについて特に触れていない点です。さらにこんな記述も。
 The large openings to the head canals on the underside of the jaws of Smallmouth and Spottedbass, fish that feed extensively on crayfish on the bottom, strongly suggest the importance of the lateralis system to feeding. Largemouth bass, which typically feed more on fish in the water column, lack those openings.
Imgp7910  つまり、簡単に意訳すると、底にいるザリガニ(アメリカには深い湖底に住むザリガニが多数います)を好んで捕食するスモールマウスやスポッツの下顎孔が大きく口を開いていることは、それだけ一連の測線による神経系の中でも下顎孔の役割・重要度が高いことを示し、小魚を好んで補食するラージマウスでは下顎孔が発達していないというのです。ラージマウスがスモールマウスやスポッツに比べて、小魚を好んで補食しているかどうかはさておき、スモールマウスやスポッツの方が自分よりも深い層にいる獲物を見つけやすいということになります(注:バスは真下が死角になって見えません。イラスト参照)。なかなか興味深いと思いませんか? あの孔にそんな重要な働きがあったなんて初めて知りました。
Fh000012   感心している場合ではありませんが、つまり、下顎孔の”有無”でラージマウスとスポッツの違いを判別することはできないかもしれませんが、下顎孔がハッキリと大きく目立つならスポッツ、下顎孔がハッキリしない(見えにくい)ならラージマウスと判断しても間違いなさそうな感じです。写真はスポッツの下顎孔です。
 ただ、下顎孔のボーダーラインの基準(ハッキリとハッキリでないの境界)は曖昧なことに変わりませんので、総合的に判断する必要がありますね。まあ、日本にはスモールマウス以外に下顎孔がハッキリと大きく目立つようなバスはいないでしょうが・・・。とにかく、普段なら飛ばして読んでいるところを改めて読んで、いい勉強になりました。

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