アメリカのトーナメントに見習うべきこと


 アメリカのトーナメントはその華やかさばかりがフューチャーされがちですが、魚のケアに対して見習うべき点はたくさんあります。
 たとえば、試合はフライト順にグループ分けし、帰着を15分ごとの時間差を設け、オフィシャル側がウェイインバッグを用意します。ウェイインバッグの数に限りがあるのでウェイイン待ちの行列ができることはありません。バスがウェイインバッグの中にいる時間を最小限に抑えるのが狙いです。もちろん、ウェイイン待ちの間もエアーポンプが用意されていますし、ウェイイン終了後は再びウェイインバッグに水を入れてくれるスタッフが待ってくれています。
 ウェイインされたバスはリリースボートに引き渡し、リリースボートが沖まで行ってバスをリリースします。湾奥の水の悪いマリーナ内でリリースするようなことはありません。開催地によっては、ウェイインステージまでの距離がありますが、ボランティアのスタッフがゴルフカートなどで往復の送迎もしてくれます。
P1100407_640x480 興味深いところでは、カリフォルニア州を含むいくつかの州では5ポンド以上のバスはウェイインバッグに1匹しか入れてはいけないことになっていて、フィッシュ&ゲームがちゃんとルールを守っているかチェックしに来ていることもあります。もちろん、各バッグには十分な水が入っているかもチェックされることもあります。
 私が今回訪れたクリアレイクでは、なんと3週連続で大きなトーナメントが開催されていました。ところが、年がら年中毎週こんなトーナメントが開催されているわけではありません。カリフォルニア州では、高水温になる夏(9月いっぱいまで)は、トーナメントでバスが死魚になる確率が高いので、トーナメントは控える傾向にあり、仮にあっても、試合時間は6時間までという制限があります。
 とにかく、トーナメントは釣り場に対して一番負荷の大きいイベントですが、可能な限りバスに対するケアを行い、将来の釣り場への影響を最小限少なくしなければなりません。釣り場はトーナメントをする人、しない人すべてのアングラーのものであり、日本もマネできることはたくさんあると思います。

アメリカのトーナメントに見習うべきこと」への4件のフィードバック

  1. GRANBASS

     釣り場はみんなで守っていかなければなりませんし、バスはみんなの共有資源だと思います。トーナメントをする人は、しない人以上にバスに対して優しいアングラーになってほしいと思います。

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  2. deyama

    大変興味深いテーマだと思います。
    私自身、地元のある湖ではプライベートのみの釣りをしており、また別の湖では大会にも参加しています。
    後者の会場では、主催者が魚の扱いをかなり厳しく指導しているためか、選手たちにも、魚を弱らせないような工夫がみられます。ライブウェルの循環方法や、温度管理、暴れ対策など、非常に考えている人が多いです。また、検量待ち時間にウェイインバッグを地面につけないようにすること、魚を空気中にさらす時間を最小限にすること、などは怠っている場合、厳しく注意されます。とにかく死魚を出さず、また釣れるようにリリースしてやるという主催者の意向は、初参加したときからよくわかりました。選手からも主催者からも、魚のケアの重要性を教えられました。大会時の魚の扱いに慣れていない人でも、こういった場を経験したら、バスのケアに対する意識も向上するのではないでしょうか。
    一方、プライベートで釣りをしている地元の湖では、春から夏場に大きな団体の大会が多く開催され、またウェイイン会場が川のようなダムの最上流スロープのみで行われています。ダム全体で、年を追うごとにどんどん魚が釣れなくなっています。それに加え、普段でも、マイボーターは魚をキープしスロープに持って帰りフンガー写真を撮る残念な「風習」があります。一度ウェイインを見に行ったことがありますが、検量後に逃がす場所が、ドロドロ水のスロープか、流れの強いダム上流部しかなく、これはすごい負担なのではないか、相当死んでいるのではないかと思いました。十年来利用している中流部の小さなレンタルボート屋さんは、こういった大会の現状に、本当に困惑しています。
    トーナメントに出ている以上、普段の釣りよりも魚にはるかに負担をかけていることはいつも自覚しています。釣り上げてからリリースするまで、いかに弱らせないようにするかは、一番重要な「義務」だと思います。一アングラーとして、何ができるのか、常に考えさせられます。
    ただ、現状は、トーナメントに出る人みんながみんな、魚への負担を考える心を持っていないのも事実です。これを変えるのは、非常に大変なことかもしれません。
    何か、いいきっかけを持つことができる機会があればいいですが。
    本来はメディアやメーカー等がもっとちゃんとやればいいのかもしれませんが、リリースシーンさえもNGみたいなものもあり、非常に残念です。

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  3. T.H

    いつも拝見させていただいております。
    オフィシャル側がウェイインバッグを用意するというのは、良い考えだと思います。
    日本のトーナメントに出ていて、ウェイイン待ちの行列では10分程待つことも時たまあります。
    その間、エアポンプは回していますが、ライブウェルの中と比べればバスへのストレスは計り知れないと思います。
    特に、運よくビッグフィッシュを持ち込んでも、あの狭いウェイインバッグじゃ………。
    アメリカの映像を見ていて、ウェイイン待ちの際にエアポンプの付いた大きな水槽に、ウェイインバッグを入れているのを見たことがありますが、バス第一に考えているからこその設備だと思います。
    また、日本ではウェイインバッグは個人持ちなのですが、チープな作りのせいか、ちょっと雑に扱っただけで穴が空くこともあります。
    自分のような若いアングラーからしたら、そういった面の負担もあります。
    正直、ウェイインバッグも安いものではないので、長く使っていきたいのですが。。。
    オフィシャル側が用意するのであれば、そういったことも無いかと思います。
    ただ単に規模がデカイだけでなく、そういった細かい管理がしっかりしているからこそ、アメリカのバストーナメントは繁栄しているのだと思います。
    日本もアメリカの真似事ではありますが、良い面をもっと真似てもらいたいものです。

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  4. show

    いつも楽しく拝見しております。
    私は日本のトーナメントを見ていて、魚をMAXで労わってはいないなぁと感じています。
    アメリカの方がだいぶ進んでいますね。日本も見習って欲しいです。
    でもおそらく、今のままの状況が続き、魚がどんどんいなくなってから初めて、少し進歩するのではないでしょうか。
    環境問題等の歴史もその繰り返しですし・・
    そう思うと、今からどうにかしたいなぁと思わされます。

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