


シーズンインに備えて、円高のうちにトゥルータングステンのデニー・ブラウワーデザインのフリッピングウェイトの1.25オンスを購入しました。カラーはジュンバグカラーとウォーターメロンです。トゥルータングステンのシンカーって、アメリカでも欲しいときに売ってなくても困るので、あるときに買っておきます。中にパイプが通っていないので心配する人もいますが、トゥルータングステンに関してはあまり気になったことはありません。
ボクはパンチングには普段はガイアのつや消しカラーのトラッシュボムの1オンスと1.5オンス(写真の左右)を気に入って使っています。でも「1オンスでは入りにくいけど、1.5オンスでは気持ち重すぎる」という状況ってありますよね。たぶん、気持ちが負けてるだけで、1.5オンスでも関係なく食ってくるんだと思いますが、可能な限り軽いアプローチをしたくなるものです。そんな弱気なボクには1.25オンスって、嬉しいサイズです。1オンスを一回り大きくしたような感じであまり大きさが気になりません。
ヴィクセンの命はそのポリカーボネイト製のボディーが奏でるラトル音なので、ボーンカラーでも中身はクリアボディーで、ナチュラルABSを使用していません。最近は日本でもボーン素材の持つ隠れた有効性が見直されていますが、軽いナチュラルABSが必ずどんな場合でも優れているというわけではありません。
そもそも、メーカーがカラー別にクリアボディーとボーンボディを使い分けてきた理由は、ナチュラルABSの方が安価で、しかもクローム系のメッキ処理をするのに適していたからです。ただし、それはプラドコ等の大きなメーカーが一度に大量にルアーを作るから素材を使い分けてコストダウンができるわけで、1回に数千個単位から1万個程度しか作らないようなメーカーでは、むしろ同じ素材で作った方が製産効率がよくなります。そして、何よりも同じ素材で作った方が同じバランスでクオリティーが均一になります。考えてみれば、同じルアーでカラーによって深度やアクションが違う方が不自然です。
アメリカではヴィクセンのボーンカラーは人気カラーの一つで、ボクも大好きなカラーです。白でもパールホワイトでもなく、ゴースト系でもない乳白色のこのカラーは、クリアウォーターからマッディウォーターまで、ローライトからハイライトコンディションまで、不思議とよく釣れます。日本ではボーン素材ばかりがクローズアップされていますが、ボーンカラーもそろそろ流行ってきそうな気がするのですが・・・。
ヴィクセンはテール部に大きなウェイトボールがあるのみなので、サミーのような立ち浮き姿勢を想像する人がいるでしょうが、実は水平浮きのペンシルベイトです。水平に浮くのはフックが3つ付いているので、ベリー部のフックの重みと、ポリカーボネイトの厚い壁でできた重いボディのおかげです。浮きすぎず、沈みすぎずの絶妙なフローティングレベルで、着水時に水中に突っ込みすぎず、跳ねることもなく、シャローのブッシュカバー狙いでも根掛かりすることなく完璧にキャストが決まります。
ヴィクセンのサイズは4番サイズのトリプルフックが3個取り付けられる最小のサイズです。互いにフックが絡み合わないギリギリのセッティングです。仮にフックハンガーが横向きでなく、縦向きになっていれば、フック同士が絡んでしまうぐらいの微妙な距離です。バイトの際に跳ね飛ばされることも少なく、どこにバイトしてきても、フッキング率が高いのが利点です。 ヴィクセンはグラスロッドで操作するのと、カーボンロッドで操作するのとで、アクションの切れに違いがあって、ラトル音にも違いが出ます。言葉ではうまく説明できないのですが、グラスロッドでゆっくり力強くアクションを加えたときに発生する音が、本当によく釣れる気がします。言い換えれば、この音がしないと釣れる気がしないぐらいです。うまく動かすと、移動距離を抑えて、左右に大きく首を振らせることができ、フロントのフックがボディを削って、フックマークがくっきりと出てきます。過去には最終的に穴が空くまで使い込んだものもあります。
ヴィクセンはラージマウスだけでなく、スモールマウスもスポッツも本当によく釣れます。ディープのバスまで水面にまでおびき出す強力な存在感があるのです。そういえば、並木さん出演のDVD、”サーフェス・サマー”のアリゾナ編のレイク・スグアロでゲストとして登場するジョン・マーレイもヴィクセンを投げています。
ヴィクセンは一見すると、ただのペンシルベイトですが、かなり完成度の高いルアーです。ボディーは一般的なABS樹脂ではなく、あえてポリカーボネイト樹脂を使用しています。”あえて”と表現したのは、ポリカーボネイト樹脂は硬すぎる素材のため、衝撃に弱く岩にぶつけると簡単に割れてしまうからです。接着も難しくABS樹脂のような伸びもないので、真夏の炎天下の熱で内部が膨張すると、水漏れを起こすこともあります。そんなルアー素材としては欠点の多い素材を使う理由は、硬い素材だけが発する独特のサウンドを出すためです。
テール部のウェイトは大きなタングステン合金のボールです。これが力強く前後にぶつかることで、大きなラトル音を発します。ヴィクセンのボディーはスーパースプーク同様にシンプルで、テール部のラトルルームで発したサウンドは隣の大きなルーム内で大きく反響し、さらに硬いボディ全体に伝達されたボールのぶつかる振動は水平浮きのボディーからさらに水中にインパルス波動となって広く伝達されるのです。ヴィクセンのラトル音は旧モデルのスーパースプークのラトル音にも似ていますが、同じではありません。スーパースプークのラトルボールがスチールボールでルーム内の遊びが少ないのに対して、ヴィクセンは高硬度のタングステンボールで、さらにルーム内の遊びが大きいのでより力強くボールが前後の壁にぶつかります。前後の壁にぶつかる音のピッチも当然スーパースプークと違います。
オリザラのコレクターは非常に多く、年代別にモールドの違いなどがあることが広く知られていますが、このスーパースプークにも秘密?がいろいろあるようですが、アメリカ人は秘密にしているのか、あんまり気にしていないのか、ボクの耳にはあまり入ってきません。でも、いろいろ調べてみると面白いことが分かってきました。プラドコというメーカーはよく分からないところがあって、同じ年代でもアメリカ製やらメキシコ製、エルサルバドル製などがあって、いろいろ混在しているので、パッケージや年代で区分するのが難しいようです。金型の違いによる外見的な違いもボクには見つけられません。ただ、同じスーパースプークでも素材はいろいろ違います。
一番簡単なのは、クリア素材とボーン素材の違いです。ボディーが大きいだけにボディー素材の違いだけでウェイト差が3g近くあります。当然、浮力にも大きな違いがあります。例えば、波気があって、ダイブしやすいときは、軽いボーン素材のタイプの方が使いやすいです。また、クリア素材でも反射板入りとなしではウェイト差があります。ただ、スーパースプークの違いはそんな単純なものだけではありません。年代なのか、生産国の違いなのか、スーパースプークのセールスポイントであるラトル音の音質に違いがいろいろあるのです。ボーン素材とクリア素材でラトル音が違うのは理解できますが、それだけでは理解できない音の違いがあるのです。言葉で表現するのは難しいのですが、「カコン、カコン」、「カキン、カキン」、「ココン、ココン」、「カラン、カラン」など、明らかに耳で聞き分けられるだけで、4種類あるのです。ラトルボールの素材には違いがなさそうなんですが・・・。意図的ではないと思いますが・・・。
どの音が一番いいとは一概に言えませんが、同じボートで二人でスーパースプークをキャストしていると、明らかにラトル音の違いがあって、釣果にも差が出ることがありました。 現在のクリアボディのスーパースプークはABS素材を使っているようですが、エクスキャリバー時代はポリカーボネイトを使っていたという話を聞いたことがあります。ABSに比べて、硬いポリカーボネイトは反響してより高いラトル音を発生させます。ただ、硬いポリカーボネイトは衝撃に弱く、岩などにぶつけると簡単に割れてしまう欠点もありましたが・・・。
ちなみに今年、USオープンを制したジャスティン・カーはエクスキャリバー時代のスーパースプークをリペイントしたものを使っていたそうで、明らかにその音にだけバスがバイトしてきたと教えてくれました。レイクミードのトップウォーターフィッシングはディープのバスを音で誘って浮かせて食わせる釣りです。音の質によって、音が伝達される深度に違いがあるんでしょうか? それともシーズンや場所、魚種によって、またはバスのその日の気分によって、カンに障る音が違うのでしょうか? 実はボクにも好きな(釣れる気がする)音のスーパースプークがあって、それを見つけると迷わず買っています。
スーパースプークは90年台にプラドコのちょっとお高めブランド、エクスキャリバーシリーズの1つとして、ジミー・ヒューストンのシグネーチャーモデルとして登場しました。このエクスキャリバーシリーズはローテーリングフックといって、ヒネリの入ったトレブルフックが装着されているのが特徴でした。スーパースプークにはフレッシュウォーター用とソルトウォーター用があり、ソルトウォーター用はマーク・ソッシンのシグネーチャーモデルで、カドミウムメッキのフックが使用されていました。
その後、エクスキャリバー・アドバンテージというちょっと値段が安めのジミー・ヒューストン&ビル・ダンスのダブルシグネーチャーモデルのスーパースプークが発売されたり、ウォールマート限定のヘドンブランドのスーパースプークなどが発売された後、エクスキャリバーシリーズとしてのスーパースプークは廃盤となり、2002年からはヘドンブランドとしてスーパースプークは発売されるようになりました。同じようにファットフリーシャッドもエクスキャリバーからボーマーとして発売されるようになりました。このいきさつは不明ですが、エクスキャリバーシリーズという名は今もプラドコの中で残っていますが、ロゴも一新され、パクリシリーズのラインナップに変わってしまいました。
スーパースプークを使わずしてペンシルを語るべからず。スーパースプークはペンシルベイトの名作です。日本にはヘドンマニアの方がたくさんいて、オリザラ(オリジナルザラスプーク)のファンは多いですが、スーパースプークを愛用している人は以外に少ないように思います。ボクは長年アメリカで釣りをしてきて、数多くの釣り人のタックルボックスを覗いてきましたが、アメリカではオリザラよりもスーパースプークの方が圧倒的に人気です。最近になって、ようやく日本でもその実力が認められ、スーパースプークを意識したルアーがラッキークラフトやジャッカルからアメリカマーケットを意識してリリースされ始めています。
話は少しそれますが、アメリカではあまりペンシルベイトといういい方が浸透していないように思えます。確かにペンシルベイトといえば通じますが、アメリカ人がペンシルベイトと言うのを聞いた覚えがほとんどありません。アメリカでは一般にスプークタイプベイトとか、ウォーカーベイト、スティックベイトと呼ばれています。
仮に旧モデルのスピードトラップの方が新モデルよりも釣れるとなった場合に大きな問題があります。実は旧モデルのスピードトラップは、他のルアーに比べて極端に熱に弱いのです。真夏の炎天下でタックルボックスの中に入れておくと、確実に熱で内部の空気が膨張して?膨れてしまうのです。シャープなボディシェイプが売りのスピードトラップがメタボな体になってしまうと、それはもう本来のスピードトラップではありません。それでもまだ左右均一に膨れてくれれば、まだ使えないことはないですが、左右非対称に膨れることも多く、バランスが悪くなって使えなくなってしまうのです。
つまり、旧モデルのスピードトラップはたくさんストックしていても、熱で膨れてどんどん使えなくなってしまうのです。ボクも今までに何個ダメにしたか分からないぐらいです。新モデルのスピードトラップはまだ使いこんでいませんから、夏場に膨れるかどうかは分かりませんが、おそらくこの問題が解消されているような気がします。
なぜ、旧モデルのスピードトラップは膨れやすかったのでしょうか? スピードトラップは浮力を最大限引き出すために、ボディー外壁が薄く作られています。これを”シン・ウォール・コンストラクション(Thin-Wall Constraction)”と呼んでいます。外壁が他のルアーに比べて薄ければ、当然強度が弱く、膨れやすくなります。前回お伝えしたように、新型と旧型の重量を比べるとほとんど違いがありませんでした。もし、新型の外壁が厚くなっているとすれば、その分ボディーは重くなっているはずです(しかも新モデルは若干ボディーサイズも大きい)。ボディが重くなった分、固定ウェイトを軽くして、全体の重量を同じにしたとなると、新型のバランスが大きく変わった点のつじつまが合います。
次に思い浮かべるのは素材の違いです。旧モデル、新モデルともにクリアな素材が使われていますが、素材の硬度が違う可能性も考えられます。あくまで感覚ですが、旧モデルのスピードトラップは軟らかい気がするのです。例えば同じクリアといっても、新モデルのリップはやや透明度が低く白っぽい色をしています。スピードトラップを軽く棒でく叩くと、旧モデルは鈍い音がしますが、新モデルは硬そうな音がします。新型のラトル音がカン高く響くのもそのためかもしれません。実は旧型のウィグルワートにも同じクリアボディーでも硬い素材と軟らかい素材があると言われ、アーロン・マーテンスなどは軟らかい素材の鈍いラトル音がするウィグルワートを好んで使っています。
旧モデルと新モデル、たいていの場合はなぜか旧モデルの方が釣れるケースが多いのは不思議な現象です。ですが、もしかしたら、新モデルもけっこうイケてるかもしれません。こういうのは、2、3日の釣りで分かるものではなく、多くのアングラーが何日も釣りした経験から、感覚的に分かるものだと思います。数年後、旧モデルのスピードトラップがプレミアになっていないことを願っています。