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ライフジャケットの着用義務の拡大 その3


 脱線しっぱなしでしたが、いよいよ本題です。ボクは長年ムスタングのライフジャケットを愛用してきました。日本のブランドでかっこいいのがないというのも理由の一つではありますが、それよりも何よりもその信頼性からです。水圧感知なので、無駄に誤爆しませんし、とにかく一つ一つが丈夫というか頑丈です。炭酸ガスのシリンダーも大きめが付いていて、浮力が大きくて荒天時でも安心です。難点といえば、他のどの膨張式よりも重いことですが・・・。
ところが、今回の法改正で、お上はムスタングを切ることを許さず、信頼性が疑われるライフジャケットを着るように強要するわけです。正直、全く納得できません。
しかも、最も事故が多いはずの免許不要のボートに乗る人たちは今まで通りの無法地帯です。
4年間の猶予もあるわけですし、未だかつて水上警察に止められたこともありません。正直、現場の水上警察の方たちが、どれがTYPE AでどれがTYPE Gで、どれがアメリカ製なんて把握しているとも思えません。そもそも水上警察がいる釣り場の方が少ないですし・・・。今まで通り、ムスタングを着ても、おそらく問題はないような気がします。とはいえ、釣り業界に身を置く身として、法律違反している写真をバンバンSNSに上げるわけにもいきません。そこで考えました。これからはムスタングを着ながら、TYPE Aのウエストベルトを併用しようと。そこでいろいろウエストベルトタイプを調べてみました。
理想は手動のみのTYPE A。正直、信用なんてしてませんし、万一の際に両方膨らんでも、かえって厄介なことにならないとも限りません。法律遵守のためだけの免罪符がほしいだけなので、無駄に誤爆してその度にシリンダー交換するのはごめんです。ところが、そんな都合がいいウエストタイプがなかなか見つかりません。一つ、見つけて、通販しようとしたのですが、どこもソールドアウト、メーカーも在庫なく、入荷が3月だといわれてしまいました。
そこで、苦肉の策でブルーストームのポーチタイプを購入しました。自動膨張ですが、落水時は首にかける気室が外に飛び出すタイプです(単体では走行中は怖くて使えませんけど)。万一、両方膨らんでも邪魔になりませんし、もしものときの保険と思えばいいわけです。溺れている人を発見したときに、取り外して投げ入れることもできるかもしれません。そう考えれば、悪い買い物でもないはずです。気に入ったのは、これはポーチ部をフロント側に装着する点です。たいていのウエストベルトタイプは腰の位置に装着するので、シートに座ると、当たって邪魔なんで・・・。
そんなわけで、今後もボクはムスタングのライジャケを着た写真をSNSでアップすることがあると思いますが、ウエストベルトもしていますので、面倒なコメントは不要です。とにかく、安全第一で、いつまでも釣りを楽しみにたいものです。

ライフジャケットの着用義務の拡大 ますます脱線


 ボクは昨年、話題のウルトレックスを導入しました。技術の進歩は年々めまぐるしく、ますます釣りが快適になっています。
ところで、ふと思いました。エンジンにはキルスイッチがあるので、走行中に落水してもエンジンをストップすることができますが、たとえば流れのある川で、スポットロックしている際や、オートクルーズ中に、もし落水でもしたら・・・。ボートに自力で戻ることは不可能でしょう。
仮にライフジャケットのおかげで浮くことができたとしても、低体温症の恐怖と戦うことになりそうです。そう考えると、なかなか怖いです。ボクは基本、一人ではまず釣りに行きませんが、一人で釣りをする人は要注意ですね。年々、歳で足腰が弱っているのを実感しますし、今後はちょっとバランスを崩しただけでも落ちてしまうこともあるかもしれません。気をつけたいです。
落水者が発見されやすいという点では、やはり膨張時にオレンジが目立つ膨張式の方がいいような気もします。さすがにオレンジの固形式はかっこ悪いですし、安っぽくてそれこそ信用できません。
今のアメリカではライフジャケットの着用義務はありませんし、トーナメントでもボート走行中以外は脱いでもOKなんですけど、新しい技術が出てくると、いろいろルールも対応が必要ですね。

ライフジャケットの着用義務の拡大 さらに脱線


 膨張式、固形式、どちらが安全か、安心かについて考えるのもいいですが、そもそも「浮いたら助かる」と保証されているわけではありません。ライフジャケットの着用義務も大事ですが、もっともっと大事なのがキルスイッチです。業界としては、もっともっとキルスイッチ装着を啓蒙するべきです。
特に冬場、バスアングラーは「落ちたら死ぬ」ぐらいの危機感というか意識を持って釣りに出かけるべきです。万一落水した場合、すぐに救助されるか、自力でボートに戻れないと、命のカウントダウンは刻一刻と進むことになります。
 水の中では大気中の25倍の早さで体温が奪われていくそうです。体の中心部まで冷え込むと低体温症(ハイポサーミア)に陥ります。体温が2度下がると、止まらない震えが起こり、思考がスムースにいかなくなり、泳ぐ能力も低下するそうです。3度低下すると、会話が困難になり、身動きがとれなくなり、4度以上低下すると意識がなくなり、不整脈にて死亡するそうです。ここで言う体温は体の中心部、直腸温度を指すそうで、大人と子供、男性と女性、太った人と痩せた人で、症状が出るまでに時間差はあるそうですが、水温が10度以下で落水した場合、30~60分で意識を失い、生存可能時間は1~3時間しかないそうです。水温が10-15度でも1-2時間で意識を失い、生存可能時間は1~6時間しかないそうです。
つまり、釣りに行くときは防水の携帯電話を身につけ、万一落水したら、一刻も早く救助を要請する必要があります。救助が来たときには、すでに意識を失っている可能性もあり、そういう意味でも脱力状態でも、確実に顔を上にして呼吸を確保した浮き姿勢がとれるライフジャケットを身につけておく必要があると思います。

ライフジャケットの着用義務の拡大 ちょっと脱線


 続きを書く前に、少し脱線します。先日、アメリカで悲しい事故がありました。ボクもたまにエントリーするトーナメントと同じカテゴリー、Costa FLWシリーズのレイク・オキチョビー戦で、初日1艇のボートが帰着せず、ボータ-とコアングラーが行方不明となりました。ボータ-はその後、深夜に無事が確認されましたが、コアングラーは1週間後に遺体で発見されました。事故の詳細はまだ捜査中ということもあって、公表されていませんが、新年早々の大きなトーナメント中の事故ということもあり、アメリカでは大きな話題となりました。
アメリカのトーナメントは本当に命がけです。コアングラーで参加するときは正直、何度も怖い思いもしました。高いエントリーフィーを払い、高額の賞金が掛かっている分、みんなテンションが上がっているので、普段よりも無理をしがちです。ボクの知り合いも数人、落水事故や落水ギリギリの事故を起こしています。だからこそ、ライフジャケットは万一のときに生きるか死ぬか決するかもしれない重要なものです。ルールだからとか、そんな安易に選ぶわけにはいきません。
こういう事故が起こると、いつも同時多発的に「膨張式は危ない」、「固形式(フォーム式)の方が安全」といった意見がネット上に飛び交います。命に関わることなので、ボク自身、どっちが安全とか断言するつもりはないですが、ひとくくりに膨張式、固形式と二者択一に語るのは非常に危険だと思います。最終的にどちらを選ぶかは個人の問題ですが、もう少し、万一のことを想定しながらライフジャケットを選ぶべきだと思います。
膨張式といっても、手動のみ、手動・自動の2タイプがありますし、サスペンダータイプとウエストベルトタイプがあります。ウェストベルトタイプの中には気室が外に飛び出すタイプもあります。あくまで個人的な意見ですが、バスボートに乗る人は膨張式ならサスペンダータイプの自動膨張タイプを着用するべきだと思います。バスボートの場合、落水と同時に気を失ってしまう可能性があり、手動では話になりませんし、ウェストベルトタイプも、完全な脱力状態で、顔を水面上に出して、呼吸を確保して浮いていられるか怪しいからです。もちろん、本当に万一の際に自動膨張が機能してくれるのかという、根本的な不安はつきまといますが・・・。
固形式はもしもの際に膨らまないかもといった不安はありません。ボートがスピンしたりして、落水する際にライフジャケットがクッションになって、肋骨の骨折を防いだなんて話もあります。だからといって、固形式の方が安全といった神話はあまりあてになりません。そもそも、固形式の浮力は膨張式ほど高くありません。股ひもをしていなければ、落水と同時にスルッと脱げてしまうこともありますし、気を失った際に呼吸を確保した姿勢で浮いてくれるかも怪しいものです。
そもそも日本とアメリカでは少し事情が違います。日本は釣りをしているときもボート上ではライフジャケットの着用が義務づけられましたが、アメリカではまだ義務化されていませんし、トーナメントにおいても走行中以外は特殊なケースを除いて、ライフジャケットの着用義務がありません。つまり、動きにくい固形式をボート走行中だけ着用するという選択肢があるわけです。一方の日本では動きにくくても釣りをする際に脱ぐわけにはいきません。実際はこのルールが逆効果となって、日本では安全軽視、動きやすさ優先のウェストベルトタイプが、広く普及してしまいました。

ライフジャケットの着用義務の拡大 続報


いよいよ平成30年2月1日より、船舶職員及び小型船舶操縦者法施行規則の一部改正により、すべての小型船舶の乗船者にライフジャケットの着用が義務化されます。違反者は最大6か月の免許停止になります。ただし、猶予期間があって、違反点数の付与は、平成34年2月1日から開始されます。
ところで、今回の船舶職員及び小型船舶操縦者法というのは、言わずもがな 船舶免許を保有する船長への法律であり、船長に課す義務です。つまり、レンタルボートなどにある免許不要艇に乗る場合は適用されません。そもそも免許を持っていない人に、違反切符が切れないわけです。
もう一つ、重要なことは、たとえば遊漁船のお客さんが適切なライフジャケットを着用していなかった場合、乗船者にライフジャケットを着用させなかった船長、ガイド(小型船舶操縦者)の責任となり、違反累積点数によって業務停止の行政処分となってしまうということです。
4年間の猶予期間は今まで通りのライフジャケットを着用していても、お咎めはなしということになりますが、釣り業界で生きている身としては、率先して違反と分かっていて、そのままでいるわけにはいきません。急いで対策しなければなりません。ちなみに今、ちょっとした特需で、ライフジャケットは全体的に品薄状態みたいです。
まず、最初に、巷では「今後は桜マーク(型式承認試験及び検定への合格の印)入りのライフジャケットしか着用できない」といったあいまいな表現しか聞こえてきません。実際のところ、国土交通省形式承認品と表記されたものなら何を買ってもいいというわけではありません。何を買えばいいのか、詳しい情報があまり見つかりません。
国土交通省形式承認にはTYPE AとかTYPE DとかTYPE FとかTYPE Gが存在します。乱暴な言い方をすれば、今後はTYPE Aを着用していれば問題ありません。より詳しい話をすると、そもそも今回の法改正は、法定備品として搭載するライフジャケットを着用するというのが前提で始まった話です。つまり、購入すべきは法定備品として認められるものということになり、法定備品として認められるかどうかの区分は、小型船舶の用途、航行区域、構造別に細かく分類されています。下記がその区分となります。
http://www.mlit.go.jp/common/001198308.pdf


ボクたちバスアングラーにとって関係があるのは、平水区域なので、細かく見ていくとTYPE Dでもいいことになりますが、そもそもTYPE Dはほとんど見かけません。気になったのは、不沈性能でキルスイッチがある小型船舶なら、TYPE Gでも認められることになっている点です。TYPE Gとは正確には小型船舶用浮力補助具という定義で、釣具店でもよく見かけます。たとえばレンジャーボートは本国アメリカでは不沈構造として知られています。当然キルスイッチは付いています。ならばTYPE Gでもいいのかと思い、国土交通省海事局安全政策課に問い合わせてみましたが、全くチンプンカンプンといった感じでした。日本小型船舶検査機構(JCI)に確認をとったところ、この不沈構造というのは、予備検査で検査官立ち会いの下、実際に不沈かどうかのテストをして、日本国内で認められたものを指すそうで、残念ながらこの区分には入らないそうです。
もう一つ気になったのは、船検が不要な小型船舶という区分です。具体的に何を指すのか、こちらも
国土交通省海事局安全政策課に問い合わせてみましたが、調べてこちらから電話しますと言われ、そのまま回答なしとなっています。要は12フィートや14フィートのローボートにエレキを付けて釣りをするようなシチュエーションがこれに当たるのかと思います。実際のところ、バスボートで釣りをしている(走行中ではなく)際に落水するのと、ローボートで釣りをしていて落水するのとでは、明らかにローボートの方が危ないと思いますが・・・。