いよいよ平成30年2月1日より、船舶職員及び小型船舶操縦者法施行規則の一部改正により、すべての小型船舶の乗船者にライフジャケットの着用が義務化されます。違反者は最大6か月の免許停止になります。ただし、猶予期間があって、違反点数の付与は、平成34年2月1日から開始されます。
ところで、今回の船舶職員及び小型船舶操縦者法というのは、言わずもがな 船舶免許を保有する船長への法律であり、船長に課す義務です。つまり、レンタルボートなどにある免許不要艇に乗る場合は適用されません。そもそも免許を持っていない人に、違反切符が切れないわけです。
もう一つ、重要なことは、たとえば遊漁船のお客さんが適切なライフジャケットを着用していなかった場合、乗船者にライフジャケットを着用させなかった船長、ガイド(小型船舶操縦者)の責任となり、違反累積点数によって業務停止の行政処分となってしまうということです。
4年間の猶予期間は今まで通りのライフジャケットを着用していても、お咎めはなしということになりますが、釣り業界で生きている身としては、率先して違反と分かっていて、そのままでいるわけにはいきません。急いで対策しなければなりません。ちなみに今、ちょっとした特需で、ライフジャケットは全体的に品薄状態みたいです。
まず、最初に、巷では「今後は桜マーク(型式承認試験及び検定への合格の印)入りのライフジャケットしか着用できない」といったあいまいな表現しか聞こえてきません。実際のところ、国土交通省形式承認品と表記されたものなら何を買ってもいいというわけではありません。何を買えばいいのか、詳しい情報があまり見つかりません。
国土交通省形式承認にはTYPE AとかTYPE DとかTYPE FとかTYPE Gが存在します。乱暴な言い方をすれば、今後はTYPE Aを着用していれば問題ありません。より詳しい話をすると、そもそも今回の法改正は、法定備品として搭載するライフジャケットを着用するというのが前提で始まった話です。つまり、購入すべきは法定備品として認められるものということになり、法定備品として認められるかどうかの区分は、小型船舶の用途、航行区域、構造別に細かく分類されています。下記がその区分となります。
http://www.mlit.go.jp/common/001198308.pdf
ボクたちバスアングラーにとって関係があるのは、平水区域なので、細かく見ていくとTYPE Dでもいいことになりますが、そもそもTYPE Dはほとんど見かけません。気になったのは、不沈性能でキルスイッチがある小型船舶なら、TYPE Gでも認められることになっている点です。TYPE Gとは正確には小型船舶用浮力補助具という定義で、釣具店でもよく見かけます。たとえばレンジャーボートは本国アメリカでは不沈構造として知られています。当然キルスイッチは付いています。ならばTYPE Gでもいいのかと思い、国土交通省海事局安全政策課に問い合わせてみましたが、全くチンプンカンプンといった感じでした。日本小型船舶検査機構(JCI)に確認をとったところ、この不沈構造というのは、予備検査で検査官立ち会いの下、実際に不沈かどうかのテストをして、日本国内で認められたものを指すそうで、残念ながらこの区分には入らないそうです。
もう一つ気になったのは、船検が不要な小型船舶という区分です。具体的に何を指すのか、こちらも国土交通省海事局安全政策課に問い合わせてみましたが、調べてこちらから電話しますと言われ、そのまま回答なしとなっています。要は12フィートや14フィートのローボートにエレキを付けて釣りをするようなシチュエーションがこれに当たるのかと思います。実際のところ、バスボートで釣りをしている(走行中ではなく)際に落水するのと、ローボートで釣りをしていて落水するのとでは、明らかにローボートの方が危ないと思いますが・・・。