先日、B.A.S.S.のサイトでショッキングなニュースが飛び出しました。2017年シーズンからB.A.S.S.のトーナメントでは10ftまでのロッドの使用を認めるというものです。これまでのルールは8ftのロッドがMAXだったわけで、いきなり2ftも使用制限が伸びたことになります。
当然、facebook上でもいろいろ話題になりましたが、おおむねロッドメーカー関係者は歓迎ムードというか好意的な発言が多かったように思います。そりゃあ、全く新しいジャンルのロッドの登場ですから、新しい需要を生み出すという点で売り上げアップが期待できるのかもしれません。
しかしながら、我々一般釣り人はどうなんでしょう? 個人的にはそんな長いロッドを振り回したいか、と聞かれたら答えはノーです。もちろん、今は違和感があるだけで、何年か経てば、普通になるのかもしれませんけど、とにかくバスフィッシングのスマートさがぜんぜん感じられません。実際、B.A.S.S.の記事に対するコメントも否定的な意見と肯定的に意見が半々といったところでしょうか。
それでは、10ftのロッドが、バスフィッシングの可能性をどれほど広げてくれるのでしょうか?
1番に考えられるのはやはりディープクランキングじゃないでしょうか? 昨今のウルトラディープクランキングのブームに拍車をかけることになるかもしれません。よりロングキャストができて、ロッドを水中に突っ込んでニーリングすれば、未知のディープエリアを引っかき回すことが可能になるわけですから、今まで釣れなかった魚をキャッチできるかもしれません。そこまでウルトラディープじゃなくても、クランキングをしていて、立ち木か何かにスタックしても、ロッドが長いと簡単に外すことできます。
トーナメントでのアドバンテージを考えれば、サイトフィッシングでの優位性が上げられると思います。ボートはパワーポールで突き刺して、バスの鼻先に真上からルアーをそっと落とすなんてことが可能になるかもしれません。
フリッピングでもそっとアシ際に落とすこともできるでしょうし、桟橋下やオーバーハングの奥に竿先を突っ込んで、ウナギの穴釣りみたいにルアーを送り込むなんてこともできるかもしれません。
それ以外に考えられることといえば、今までならできなかったロングリーダーのキャロライナリグをキャストすることが可能になることでしょうか?
それでは、デメリットというかネガティブ要素としてはどんな点が上げられるでしょうか?
個人的に1番抵抗があるのは、バスとのやりとりや取り込みです。正直、スマートさに欠けてしまうと思うのです。特にエリート戦はハンドランディングが基本で、ネットは使用できませんが、ボート上で10ftのロッドで掛けたビッグバスをハンドランディングするのは、かなりたいへんです。バスマスターオープンのようなネットが使える試合でも、ネットの柄が長くないとランディングはけっこう難しいと思います。当然、釣り味にも欠けると思います。
ロッド開発技術が進んだとはいえ、10ftもなると、かなり重いロッドになるのは必至です。ルアーの引き抵抗も大きくなりますし、フッキング時やキャスト時の肘や手首への負担も大きくなることでしょう。
もう一つ、大きな問題はその長さ故の不便さです。10ftのロッドなんて、ボートデッキ上でもてあまして邪魔でしかたありません。20ftクラスのボートでもコンソールがあると、デッキにうまく置けません。
バスマスターオープンの試合では、バックシートにコアングラーが乗りますが、試合中ルアーのフックを頭などに引っかける事故も多発すると思います。実際、私はコアングラーの経験が多数ありますけど、アメリカ人って、垂らしを長くしてサイド気味に投げる人が多くて、何度もヒヤリとした経験がありますし、二度フッキングさせられたこともあります。失明なんて最悪な事故が起きないことを祈るばかりです。
そもそも、豪快なアメリカ人たちが10ftのロッドをうまく扱えるのか、それ自体が疑問です。フッキング時、ランディング時、輸送時、ロッドを折るトラブルが多発するんじゃないでしょうか?
そんなわけで、個人的にはアラバマリグが登場したときと同様、かなりネガティブな私であります。果たしてFLWがどう出るか。そして、日本のトーナメント団体はどう出るか。