日米のプロトーナメントの違い その2


 アメリカのトーナメントは現行犯でない場合で、他のアングラーからプロテスト、つまり正式な抗議を受け、当の本人がそれを否定した場合はポリグラフ、いわゆるウソ発見器で白黒をハッキリさせます。
 このポリグラフテストは非常にポピュラーで、ローカルのトーナメントでもちょっとした団体なら行うことができます。例えば、よくあるケースで、”あいつはオフリミットのブイとブイを結ぶラインを越えてキャストをしていた”とか、”あいつはノーウェイクゾーンをアイドリングではなく走り抜けていた”など、第三者のアングラーからオフィシャルへプロテストがあると、当の本人がそれを認めない場合は同船のコアングラーが否定しても、ポリグラフテストを受けなければなりません。現場に公平な審判がいない限り、ポリグラフテストぐらいしか頼るものがないというわけです。
 もし、このポリグラフテストを拒否すれば、今度は裁判にも発展しかねませんし、結果として黒となった場合はその団体への出場は永久停止となることもあります。アメリカのトーナメントはスポンサー契約もシビアですから、違約金やら何やらでけっこうもめるそうです。
 ポリグラフテストをパス、つまり白と判断されれば無罪放免です。その後つべこべ言われることもありません。ポリグラフテストが本当に信用できる装置かどうかは関係ありません。もちろん、黒と判断されればDQ(ディスクオリファイ)となります。DQの程度はその日のウェイトが無効になるものから、試合の全日程のウェイトが無効になるものなどさまざまです。
 このポリグラフテストは何もプロテストを受けた選手のみに行われるわけではなく、たとえばトップ10カットで残った選手でランダムに選出して、フェアに試合が行われているかチェックしたり、大きな大会では優勝者が試合後にポリグラフテストを受けることもあります。実はボク、一度だけポリグラフテストの現場を見たことがあります。詳しくは書きませんが、ボクが受けたわけではありませんよ。
 一方の日本のトーナメント界ではポリグラフテストが行われたなんて話は聞いたことがありません。今回のような事件があると、残念ながら”過去のあの試合も怪しい”なんて批判が殺到します。事の真相は当の本人しか知り得ないわけで、今回が初犯だったと主張しても今さら証明のしようがありません。団体は除名処分で一件落着とし、過去の試合に関して白黒をハッキリさせません。初犯だったかどうかはボクには分かりません。ただ、噂話であれやこれやとおもしろおかしく個人を攻撃するのは大嫌いです。ボクは彼とはほとんど面識はありませんが、個人的な気持ちとしては初犯だったと願いたいです。そして、それをポリグラフテストで白黒ハッキリさせる機会を彼に与えてあげないのは残念に思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください